長編 書き場

□誘導
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「あ、お帰りなさい」

ヒソカが部屋に戻ると言いつけ通りカメリアは大人しく部屋で本を読んでいた。
今目の前にいるカメリアが過去に死んだと思っていたカメリアと同一人物だと確信してから見る目が少しだけ変わった。
当時自分より強かったカメリアが記憶を無くしてからか、今とは念の使い方が多少変わっており、幼い頃の方がより才能のあるように感る。本来のヒソカであればその時点で拍子抜けするところであるが....

「カメリア♠」
「はい?」
「これからはその能力を使う時は先のことを考えて使うんだよ♠」
「えっと....はい、すみません...」
「これでも心配してるんだよ?♣」
「急にどうしたんですか?昨日まで殺そうとしてた相手にいうセリフじゃないですよ」
「ククッ♦確かにそうだね♣」

見守りたい。なんて柄にもないことを思ってしまっていた。
幼い頃は強いから興味があるとずっと思っていたが、もしかしたらカメリアという人間に興味を持っていたのかもしれないと今更ながらにふと思い始めたヒソカだった。








最後に念能力を使用してちょうど24時間が経とうとしていた。

「ところでこれから君はどうするんだい?♦まだ天空闘技場に残るの?♣」
「天空闘技場は念のレベルアップの為に来ていたので正直もう目的は果たしてるんですよね...ヒソカさんは?」
「ボクは明日ゴンと戦うよ♣」
「ゴンくんと?!」
「なんだ知らなかったのかい?♦」

自分の念の修行に集中しすぎたせいで周りのことに無頓着になっており、ヒソカとゴンが試合をすることになってたなんて全く知らなかった。
観戦のチケットの販売があるか確認してみるが、当然完売しているらしく、とても見たい気持ちは強かったが断念する他なかった。

「試合観戦できなくて残念です….それと、これからに関しては全然考えてなかったです....いや、今までもなにも考えずに生きてたんですけどね」
「君は自由そうだもんね〜♣そんなカメリアに提案があるんだけど❤」
「なんですか?」

人差し指を立ててニコニコとするヒソカにカメリアは首を傾げる。

「もっとレベルアップしたくない?♣」
「!!….したいです!!!」

あまり期待していなかったカメリアは、強くなれるという思いもよらないヒソカの提案に目を輝かせ食い気味に寄った。

「実はイルミが修行を手伝ってくれるんだって♦」
「イルミが?!ど、どういう風の吹き回し....」
「まぁまぁ♦行く宛がないならちょうどいいんじゃないかな?♠」
「確かにそうですね....是非お願いしたいところです!」
「それじゃあはい❤ゾルディック家の地図♦」
「え?イルミの家で修行ですか....??ゾルディック家って....確か殺し屋って....」
「そうだよ♠頑張れ❤」

なにも考えずに即決してしまい早速カメリアは後悔した。
殺し屋の家で行われる修行を想像したのか顔が真っ青になるカメリアをみたヒソカは相変わらず面白そうな顔をして見ると、頑張れと地図を手に握らせ手をヒラヒラさせながら部屋を出て行った。

「え.....私生きていけるのかな.....」

不安な気持ちではありながらも、受け入れてしまったからには行くしかなくなったカメリアは、少ない荷物をまとめた。ゴンやキルアにも挨拶してから旅立ちたかったが、明日がヒソカ戦ということもあって修行に専念してるのを邪魔するわけにもいかないと思い、会うことはせずに天空闘技場を後にした。場所を移ることを図書館の館長に伝えようと図書館に向かおうとすると闘技場の入り口にその人は立っていた。

「やぁカメリアちゃんお疲れ様!」
「あれ?!館長?!どうしてここに?!」

旅立つことを知っていたかのように出迎えた館長にカメリアは素直に驚いた。

「次の目的でも決まった?」
「そうなの!ちょうど今から図書館にいこうとしてたんだけど。図書館はいいの?」
「大丈夫だよ。ところで次はどこに行くんだい?」
「えーっと...パドキア共和国にあるククルーマウンテン!」
「え?そこって...」
「実は友達がそこに住んでて....」
「知らない間にカメリアちゃん闇社会に足を踏み込んでいるような」
「あははは....」

自分でも薄々感じていたことを指摘されて苦笑いするしかなかった。

「それじゃあいってらっしゃい!」
「はーい!いってきます!」

館長に大きく手を振って見送られ飛行機に乗るため空港に足を運んだ。
久しぶりの再会に会話が弾んでどうして館長が闘技場前に居たのかを聞き忘れていたが特に気にすることはなかった。




「あ!館長!おかえりなさい!外出なんて珍しいですね!」
「留守番ありがとう」

館長が図書館に戻ると留守番を任せていた明るい男性職員が声をかけた。

「あの子ですか?」
「そうそう。」
「やけにあの子を寵愛してますね」
「うーん。あの子には恩があるからねぇ」
「そうなんですか?」

含みのある言い方に気になったが館長の悩む姿に男性職員は深く聞くことはなかった。すると館長が男性職員に耳打ちする。

「毎日来てる包帯を巻いた青年がいるだろう?」
「ああ〜結構病弱そうに見えるイケメン君ですね。確かに最近毎日のように来てますね」
「毎日来ては神経を尖らせてるから会わせてはいけない気がしてね」
「???????」
「いや、やっぱり気にしないでくれ」
「はーい。たまに館長って不思議なこと言いますよね〜」










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