長編 書き場

□効率
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イルミに屋敷を案内してもらった後部屋でゆっくりして朝を迎えた。
窓から差し込む光の眩しさに目が覚め薄目を開けた。

「やぁおはよう」
「..........」
「早速今日からカメリアの念を..」
「だからなんで勝手に入ってくるのよ!!!!!!!」

目を開けた瞬間飛び込んできたイルミの顔面に驚きのあまり被っていた毛布を押し付けた。いつからベッドの横に立っていたのだろうか。

「そういうところはまだヒソカさんの方がデリカシーあるよ!!!」
「えーー」

ヒソカと比べられたことが不満だったのかあまり表情は変わらないが嫌そうな顔をしたのはなんとなくわかった。

「とりあえずはい、朝ごはん」
「え?ありがとう...」

はいと手渡されたのは手作りのサンドイッチ。イルミのお母さんが作ってくれたものだろうか喫茶店で出されそうな色鮮やかで美味しそうだ。

「いただきます」
「ん」
「うん!美味しい!」

一口食べると見た目通りとても美味しかったが食べ終わったところで身体の異変に気がついた。

「あれ?身体に力が入ら......」

急に全身に力が入らなくなり意識ははっきりしたままパタリとその場に倒れた。

「やっぱ耐性はないかー」
「?????」
「うちの食事すべてに猛毒が入ってるんだけどさすがに死なれちゃ困るから神経毒に変えてもらったんだけどまずはここからだね」
「?!?!?!?」

すべての食事に毒が入ってるってどういうことだよ!と叫びたかったカメリアだが、神経毒を摂取し全身の筋肉がいうことを聞かず顔の筋肉も麻痺してるせいで喋れなかった。

「目指せ猛毒」
「(毒耐性付けても盛られる機会なんてないよ!!!!!)」





朝は神経毒で丸々時間が潰れてしまい昼に漸く特訓をつけてもらえることになった。

「俺カメリアの能力知らないんだけど」
「あ、そっか。私の念は.....」

自分の念能力について包み隠さず教えると黙って聞いてたイルミがじっとカメリアの方を見た。

「?なに?」
「いや、なんの躊躇いもなく教えるんだね」
「イルミとは友達になったでしょ?じゃあなにも問題無いじゃん?」
「友達ってそういうものなの?」
「そういうものじゃないの???」

お互い友達がほとんどいない同士故に距離感がよくわかっていなかった。

「まぁいいや。カメリアの能力一見具現化と思うけど操作系だね」
「そうだよ!」
「にしてもなんか効率悪い能力だね」
「うっっ」

実践を積むたびに薄々気付いていたが確かにカメリアの念能力は効率が悪かった。イルミの言葉はカメリアに刺さった。

「武器を作るだけなら具現化の方が利点が多い。カメリアの場合は砂鉄がないと成り立たないでしょ。」
「うぐっっっ」
「特質の念能力も便利なのはわかるけどリスクが大きい。リスクをもう少し減らせるように強化したいところだね」
「う........はい」

無表情で淡々と発言されるため、ただストレートに言われるよりダメージが大きく感じた。

「なんでこの能力にしたの?」
「いやぁ....子供の頃の記憶が私なくて...記憶のある前から念は使えてたみたいで身体が覚えてただけで正直自分が決めたっていう感覚はないんだよね....」
「能力の名前は?」
「それはどうも覚えてたみたい?」
「ふーん。」

子供の頃から念能力に触れる機会があることに違和感を感じたイルミだったが記憶がないなら聞いても意味がないと思い追求することは辞めた。
発の内容に関しても子供が咄嗟に考えるならそんなのものか。と思うことにした。

「流石に俺も毎日付き合うわけにはいかないから、仕事もあるし。基本俺が用意した基本トレーニングを自分でしてもらうよ」
「わかった!ありがとう!!」
「基礎メニュー考えるから今から1時間ミケに殺すよう追いかけてもらうから頑張って逃げてね」
「えっ????」

殺すように、というのが気になったが聞く間もなくイルミはミケを呼び指示し始めた。

「ちょっと!!!まってよえええええええええ!!!!!」
「がんばれー」

ミケがよだれを垂らしながらカメリアを追いかけ始め全力で逃げる1時間の鬼ごっこが始まった。











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