長編 書き場

□他聞
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カメリアがゾルディック家に居候し1ヶ月半が過ぎた頃、イルミから出される訓練もだいぶ慣れて基礎体力は初日と比べて大分上がった。来たときには4の扉を開けるのも大変だったが5の扉を開けることができるまでに力も増えたのだ。
ミケとの追いかけっこのおかげで走力と持久力もあがり今後移動にも苦労する機会は減ることだろう。おまけに毎日一緒に追いかけっこをしたせいかミケもカメリアに懐いていた。
滞在予定の半分が過ぎてそろそろ念能力向上に移ろうとしていた時だった。


「あれ....携帯の調子が悪いなぁ」

暇つぶしに携帯を触っていると操作がしにくくなっていた。充電は十分にできているし特に操作が悪くなるような心当たりもなかったカメリアが困っていた。

「そういえばミルキくんが機械に得意っていってたよな」

初めてあったときにミルキから言われた言葉を思い出し、携帯の調子を見てもらおうと部屋を出てミルキの元へ向かった。

「ミルキくん.....」
「――で何お前もしかしてグリードアイランド探してるのか?」
「?電話中かな」

部屋をノックしようとすると部屋からミルキの話し声が聞こえてきた。相手の声が聞こえないことから電話をしているのだと思ったカメリアは通話が終わるまで、声は聞こえるが内容が聞き取れないくらいに扉から離れて待つことにした。
会話の声が聞こえなくなったところで扉をノックする。

「ミルキくーん。カメリアでーす」
「あ、なんだカメリアさんか。どうしたの?」
「実は携帯の調子が悪くてちょっと見て欲しかったんだけど....忙しい?」
「ああ、大丈夫だよ。入ってきて」

初日に会った以来一度またミルキと会った際にお互いタメ口で大丈夫ということになって気さくに話せる様になっていた。最初は”ちゃん”とつけて呼んでいたミルキは歳上ということを知って以来”さん”つけに変えていた。
通話後には調べたいことは山ほどあるミルキだったがカメリアのお願いは断れなく快く受け入れてくれた。
ミルキが携帯をみている間、先程の会話が気になったカメリアは聞いていいかどうか悩んだが会話の内容もなかったので恐る恐る聞いてみることにした。

「さっき来た時に少しだけ聞いちゃったんだけど、グリードアイランドってゲーム?」
「ん?ああ、そうそう。キルアからあんなレアなゲームの名前が出てくるとは思わなかったよ」
「キルアくんからだったんだ!それってどんなゲームなの?」
「それはなーーーー」

携帯の修理をしながらグリードアイランドについて上機嫌に説明してくれた。ハンター専用のゲームなんてものが存在するのかとカメリア目を輝かせて話を聞いた。
あっという間に携帯は直ったがグリードアイランドについての会話はそのまま続く。

「それでキルアたちがグリードを手に入れるためにヨークシンのオークションに参加する気みたいだな。今年のオークションに何本か流れるウワサもあってね。まぁガセかもしれないが」
「へぇ〜〜そうなんだ......」
「まぁそれでこれからやることが山ほどあるんだが...」
「ごめん!邪魔しちゃった」
「いや、大丈夫だよ。カメリアさんもこれからイルミ兄と訓練でしょ?がんばって」
「うん、ありがとう!携帯も!」
「どういたしまして」

直してもらった携帯を受け取って心咎めるように部屋を出てイルミとの訓練のため外に向かった。




「イルミ来ないなぁ....今日は来ないって聞いてないけど....」

いつも1人訓練のときは予め連絡が来るのだが時間になってもイルミは来なかった。
忘れるような人ではないと不思議に思ったカメリアはイルミの部屋は把握していたので呼びに行くことにした。

「はいはい了解。注文が多いね〜高くつくよ?」
「あれ、イルミも電話?お仕事かな」

扉の前に立つと部屋からイルミの声が聞こえてきた。通話中で遅れてると知ったカメリアは外で待とうと踵を返そうとした時だった。

「ところでカメリアをーーー」
「!」

聞こえてきた自分の名前にカメリアは足を止めた。その瞬間通話の相手はヒソカなのだと察し通話の内容に耳を傾けようとしたが、

「あ、ちょっとまって」

すると扉が急に開かれイルミと目がばっちり合った。

「盗み聴きはダメー。後で行くから自主練してて」
「う.....はーい....」

流石にイルミの会話を盗み聞くことは出来ず、カメリアは大人しく外に出ていった。
その様子を離れたところでカルトが眺めほくそ笑んだことには誰も気がつかなかった。










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