長編 書き場

□密告
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イルミとヒソカの会話の内容が気になってしょうがないカメリアだったが、あのイルミからバレないように盗聴する術を思いつかなかったため大人しく1人ルーチンをこなしていた。
しばらくして言う通りイルミがやってきて会話の内容を聞こうとすれば無視してまったく取り合ってくれなかった。
間もなくしてまたイルミの携帯から着信音がなると仕事が入ったと瞬く間に何処かへ行ってしまった。



「はぁ......なんだったんだろう....」

イルミが何処かへ行ってしまった後呆気に取られたカメリアはいつも通り訓練を終わらせて部屋に戻るがもやもやが残ったままだった。
すると扉をノックする音が聞こえ、来訪者に覚えはなかったが返事をして出迎える。

「え?カルトくんどうしたの?」
「カメリアさん、お邪魔してもいい?」
「もちろん!入って入って!」

カルトが突然訪れてきて嬉しかったカメリアは笑顔で迎え入れ椅子に腰掛けるよう促した。

「イルミ兄様が居ない今だから言えることなんだけど」
「?」
「カメリアさん、昼間の兄様の会話の内容気にならない?」
「えっ?!」

思いがけない問いかけにカメリアは狼狽した。しかし今日一日気になって仕方がなかった内容が知れるかもしれないと前のめりになった。

「ボク結構盗聴とか得意でね。兄様相手だからドキドキしたけど遠目から少しだけ聴けたんだ。」
「さ、流石はゾルディック家の一人.....」
「ボクが聴けた内容を教えてあげる」
「嬉しい!ありがとう!」

カルトは自分が盗聴した会話を話し始めた。



「ごめんごめん。カメリアがすぐ側に居たから遠ざけてきた」
『ーーーーーー』
「それで?」
『ーーーーーーーーーー』
「へぇ?それでなんで3ヶ月?」
『ーーーーー、ーーーーーーーーーー』
「それはわかったけど、なんでヒソカがそれを阻止する必要があるの?」
『ーーーーーーーーーーーーー。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』
「ふーん。キミにもそんな過去があったんだ」
『ーーーーーーー』
「OK。ヨークシンに行かせなければいいんでしょ」
『ーーー。ーーーーーーーー』
「それは俺にはどうしようもできなくない?でもカメリアがヨークシンに行く用事なんてないでしょう」
『ーーーーー。ーーーーーーーーー』
「はいはい。じゃあね」



「こんな感じ。遠くからだったから電話相手の内容は聞き取れなかったんだ。ごめんね」
「いやいやすごいよ!あのイルミから盗聴できるってカルトくんすごい人だったんだね!」
「あ、ありがとう....」

ベタ褒めされたことでカルトは恥ずかしくなって顔を赤くして俯いた。
一方カメリアはイルミの会話の内容について考えていた。

「ヒソカさんは私をヨークシンに行かせなくないみたいだけど.....なんなんだろう....」

つい先日もミルキからキルアがヨークシンに向かってる情報とグリードアイランドについての話を聞いたばかりでかなり興味が湧いているところだった。それに追い討ちをかけるようにヨークシンの話を聞いて更に興味をかきたてられた。

「行くなと言われると行きたくなるよね〜」
「捻くれてるね」
「盗聴が得意なカルトくんに言われたくないよ」

軽口を叩き合ってニコリと笑うとカルトも楽しそうにした。

「でもわざわざそんな危険を侵してまで盗聴してくれたの?」
「よくわかんないけどカメリアさんが喜んでくれると思って」
「カルトくん......」

やっていることは別として自分の為に頑張ってくれることが嬉しくて思わずギュッと抱きしめていた。

「ありがとう」
「ちょっと、恥ずかしいよ」
「ごめんごめん」

また更に顔を赤く染めてカメリアから離れると慌てて椅子から立ち上がりじゃあ!と言って部屋から出て行ってしまった。

「グリードアイランドやキルアくんたちの動向が気になるのは確かだけどわざわざヒソカさんが私をヨークシンに近づかせないようにしてるんだから大人しくしてる方がいいのかな」

興味はあるが困らせるのは申し訳ないという気持ちもあって大人しく時間が来るまでこの屋敷にいることにしようと決めた。

【キミにもそんな過去があったんだ】

「......私をヨークシンに近づけない理由はヒソカさんの過去に関係あるのかな?.......子供の頃私はなにをしてたんだろう」

今まで記憶喪失についてなんとも思ったことなかったが、突然気になり始めてしまった。
自分の置かれている状況がどうなっているかも知らないまま。







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