長編 書き場

□覚醒
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「あれ......私........」

気がつくとベッドで眠っていた。周りに人の気配はない。
とても長い夢を見ていたようで自分の置かれている状況を整理する。

「そっか....念能力が使えなくなって....それでもどうにかしてゴンくんとキルアくんを助けようと思ったらヒソカさんに蹴り跳ばされて気を失ったんだっけ......」

状況を思い出したところでまた夢について考える。

「あれは子供の頃の私........そっか......あれは夢じゃなくて記憶.......」

突然思い出した記憶に困惑する。
今まで使っていた能力も本来の半分も使えていなかったこと、友人のマチとは物心ついた頃から一緒だったこと、そしてヒソカと幼少期出会っていたこと。
まさかの事態に混乱し中々整理がつかない。今まで2人ともなにも言ってくれなかったのはカメリアを気遣ってのことなのだろうと思うと申し訳なく感じてきた。

「そうだ、今2人はどこに.....」

記憶が戻ったことを知らせるため2人に会いたかったが周辺を探しても人一人いない。自分が蹴り飛ばされた広場にもだれもいなかった。

「ゴンくんとキルアくん無事に逃げれたのかな.....」

死体が転がっていないことから恐らくどうにかして脱出できたと信じるしかなかった。そういえばなぜ自分はここに連れてこられたのだろうか、その割に誰にも監視されていなく訳がわからなかった。

「カメリア!!!!」
「えっ?」

さっきまで周囲に誰もいなかったはずが急に声をかけられ吃驚した。しかし聞き慣れた声に身構えることはなかった。

「マチ!どこいってたの?起きたら誰もいなくて」
「あ、あぁちょっと仕事で.....カメリアが心配で急いで片付けてきたんだ。ところでカメリア....アンタ.....」
「あ、うん.....」

本来の念能力を思い出した事によってオーラ量が増加していることにマチは気付いたのだった。カメリアは頭を下げる。

「マチ、あの日約束破ってごめんなさい。そして.....今まで私の為に色々してくれてありがとう。本当に感謝してる!」

頭を上げて微笑むと記憶が戻ったことを知ったマチは驚き目を見開いたままポロポロと涙を溢した。

「マ、マチ?!ご、ごめんね?!ほ、ほんとにごめんね!!!」
「ち、違う....そういうことじゃない」

マチは記憶を取り戻したカメリアを見てその瞬間は本当に嬉しく思ったが、今置かれている状況を思うととても複雑にも思っていた。
思考を巡らせているとカメリアの背後にいた人物を目にして隠すように袖で雑に涙を拭った。

「やぁ♠目が覚めたんだね♦ごめんね〜あの時ああするしかなくてさ❤」
「あ、ヒソカ....さん」
「ところでカメリア♦なんか以前よりオーラ量が増えてない?」
「ヒソカさんにも謝らなくちゃいけないことがありました」
「え?なんで君が謝るんだい?♣」

怒られると思っていたヒソカは予想外の反応に首を傾げる。

「ヒソカ、私が申し込んだ決闘だったのにあの日花畑に行けなくてごめんね」
「!♦記憶...戻ったのかい?♣」
「お陰さまですっかり」

記憶が戻ったとは言えつい先日まで敬語で話していた相手に
以前の話し方をしてみたカメリアは照れ臭そうにはにかんだ。

「懐かしいね♦それじゃあ今度こそ決闘しよう❤」
「えっ?!今は嫌ですよ!それはまたいつか!」
「残念♦」

そのやりとりを見ていたマチは唖然としていた。

「え??は、はぁ?!あの日約束していた相手はヒソカだったの?!」
「そうなんだけど....マチってヒソカさんと面識あったんだね」
「う、嘘でしょ......なんで何も言わないかったんだよ.....」
「僕達運命の赤い糸で結ばれているのかもね❤」

3人は懐かしい記憶に浸って居たがカメリアは咄嗟に今自分が置かれている状況について思い出した。

「そういえば私どうしてここに連れてこられたの?」
「団長からの命令でカメリアを連れてくるよう指示されたのさ。私たちにも理由はわからないんだ。カメリアに危ない目に合わせたくなかったから私は知らないフリをしていたんだけど」
「そうだったんだ....ヒソカさんも?」
「うん♣まぁ団長に渡すなんてなんき気に食わなかったし一緒に居たけど黙ってた❤」
「そういえばゴンくんとキルアくんが幻影旅団って言ってたけど2人って......」

2人は顔を合わせると正直に幻影旅団について話をした。
名前だけしか知らなかったカメリアは2人がそんな裏組織の一員だった事を知り驚いた。

「2人ってそんな世界に住んでたんだ.....あーでもヒソカさんは意外でもないですね」
「えー♦」

記憶を失っていたらきっと驚き戸惑っていただろうが幼い頃に幻影旅団のような盗賊をみたこともあったし、殺しも経験していた為余り驚くことはなかったが親友がそんな死と隣り合わせの仕事をしていたことは正直納得はしていなかった。

「マチが選んだ道だから否定はしない。けど....絶対死なないで」
「カメリア.....でも、アンタだけは言われたくないよ」
「うっ.....」
「記憶が戻ったのはいいけどそれでまた昔のようなことがあったら私絶対ゆるさないから」
「うん。今度は無理しない」

仕事を終えたであろう他の団員たちがゾロゾロと帰ってき、他にも言いたいことがあったが一旦会話をやめた。

「あ、あの子起きてるよ」
「ほんとに念能力者だったね。変なやつ」
「お前らその女の知り合いか?」

カメリアを連れてきた3人、シズク、フェイタン、フランクリンが連れてきた時と様子が違う事、マチとヒソカと普通に接していることについて問いかけてきた。2人は適当に返し他の団員は何やら荷物を抱えてワイワイとしている。

「おっ?てっきり逃げてるかと思ってたけどちゃんと居たんだね!」

シャルナークがカメリアを見るなり後方にいる人物に呼びかけていた。

「えっ......」

そして最後に入ってきた人物を見てカメリアは言葉を失った。








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