長編 書き場

□再開
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「ほう、本当に能力者だったか」
「クロロ......さん......?」

額に巻いていた包帯はなく髪はオールバックにかきあげられ、図書館で会うクロロと雰囲気は全然違うものだが一度見たら忘れない整った顔立ちだったので一瞬でクロロ本人だと分かった。

「クロロさんが......幻影旅団の団長....?」
「あぁ」
「.....図書館で見るクロロさんとは別人ですね.....」
「カメリアが蜘蛛の俺を知らないように俺もカメリアが念能力者だという事を知らなかったのと同じじゃないか?」
「そう....ですね.....」

2人の間に沈黙が走る。そのやりとりをマチとヒソカは静かにみていた。

「ところで....どうして私をここに?」
「欲しくなったから。それだけだ」
「♦」

何を言っているんだこの人は.....
カメリアには言ってることが全く持ってわからなかった。受け答えする際に感情も感じず無表情のまま淡々として
とても冷たく感じた。自分の知っている彼と蜘蛛でいる彼、どちらが本物なのかわからなかった。

「先程の様子だとヒソカとマチはカメリアの事を知ってたそうだな」
「ごめん団長。ちょっと訳あって...」
「うん❤なんならメール来た時隣にいたんだけどね♦」
「え“っそうだったの?」

マチは申し訳なさそうにしている中ヒソカは悪びれる素振りもなく笑うが、その後鋭い目つきになる。

「でもまさか団長とカメリアに接点があったなんてね、カメリアの事気に入ってるみたいだけどボクが先に見つけた獲物だからそう簡単に渡さないよ♠」
「ほぅ....それなら奪うしかないな」
「頼むからカメリアを危ない目には合わせないで」
「えーっと、私は頭が混乱してます」

クロロとヒソカの間で殺気立っており、マチはこの先不安しかなく困り果て、カメリアは理解が追いつかなく混乱していた。
幼少期の記憶が戻ったばかりで既に頭がパンクしそうなのに今自分が置かれている状況が整理できていない。

「クロロさんは私をここに連れてきてどうするつもりなんですか?」
「まさかそこそこ腕の立ちそうな能力者だったとは思わなかったからな。そもそもどうするつもりもなかったが、ウボォーの穴埋めになってもらおうかと思う」
「穴埋め?」
「団長?!」

クロロの発言をカメリアは全く理解できていなかったがマチは驚き、周囲でガヤガヤしていた団員がピタリと静かになる。

「マチどういうこと?」
「団長はアンタを幻影旅団の団員にしようとしてるってこと」
「はい?」
「団長、私は反対だよ。カメリアは....」

マチがクロロに反対しようとした瞬間カメリア目掛けて強烈な殺気と共に鋭い攻撃が放たれてきた。
カメリアはその場から体勢を変えることなく取り戻した“自在の砂鉄(ブラックキラー)”で首元を狙ってきた傘を包むようにして食い止め、反対方向から切りかかってきた刀を砂鉄の壁で弾き飛ばした。

「あぁ〜♦懐かしいねぇ❤」
「チッ」
「あぁ?なんだこりゃ」

傘で攻撃してきたフェイタンはすぐさまに傘から手を放し後方に飛び、刀で斬りかかってきたノブナガは刀を構えた直し砂鉄を不思議そうに見る。
久しぶりにカメリアの本来の能力を目にしたヒソカはゾクゾクと興奮した。

「そんな殺気立てて襲ってこなくても私はそういうのになるつもりないですよ......」
「ハッそうしてもらいたいな。ウボォーの代わりになってもらっちゃこっちも困るぜ」

ノブナガは苛立っているのかカメリアに向けた殺気は変わらずにいた。

「そうか、じゃあ俺の女になれ」
「は??」
「えっ?」
「!♦」

真顔のまま突拍子もない言葉を発したクロロにカメリアはもちろんマチもヒソカも目を丸くした。

「クロロさんさっきから何言ってるんですか?!意味わからないです!!」
「知らない男よりは団長の方がマシか.....」
「マチ?!」

ブツブツと真剣に悩むマチにあたふたしていると目の前にヒソカが割って入ってきた。

「それはおもしろくないなぁ♦彼女はボクの獲物だ♠」
「言っただろう、欲しいものはどんな手を使ってでも奪うだけだ」
「いや、私ヒソカさんの獲物でもクロロさんの女にもなりませんよ......そもそもヒソカさんはともかくクロロさんに気に入られる理由がわからないです」
「理由か......なぜだろうな....自分を肯定してくれたから...?いや、厳密にはそうじゃなかったな.....一般人と思っていたらそうじゃなかったから?それも変だな。」
「.....?」

理由を聞くと独り言をぶつぶつと言いながら真剣に悩み始めた。
とにかくできればこの場から抜け出したいところだが、幻影旅団が勢ぞろいしている中堂々と逃げ出そうとするのはあまりにも無謀なことはわかり切っていた為、しばらく大人しくし抜け出す機会を伺うことにした。






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