長編 書き場

□中立
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「さあ、闘ろう❤」

クラピカたちを乗せた飛行船が飛び立っていくのを確認したカメリアはヒソカとクロロの方を見ると、2人は向かい合ってピリピリとした空気が流れていた。

「ちょっと待って!」
「!」
「カメリア?♦」

即座にその間に割って入りヒソカの殺気を抑えさえる。

「どうしたんだい?こんなところに残って♣」
「だって、ヒソカさんここで殺し合うつもりなんですよね?流石に見逃せないです」
「どうして?♦」
「えっ?」

本当に不思議そうにヒソカは首を傾げ、クロロはフッと静かに笑う。

「ボクが死ぬと思ってるかい?♠それともクロロが死ぬのが悲しい?♦」
「えっと…クロロさんが死ぬのもヒソカさんが死ぬのも嫌です。それに、ヒソカさんも幻影旅団なんですよね?それなのに仲間で殺し合いって…」
「ああ、それなら大丈夫だよ♣」
「?」

ヒソカはそういうと上着を脱ぎ捨て後ろを向く。背中に大きく描かれた蜘蛛に手を伸ばすと刺青かと思われたそれは最も簡単に剥がれた。

「ボクはこのために入ったと見せかけたのさ❤これで仲間割れじゃなくなったから遠慮なく闘れるだろう?♦」
「えっ?ヒソカさんは旅団じゃない…?」
「フッ…くくく…なるほど」

ずっと黙っていたクロロが再度小さく笑うと口を開いた。

「団員じゃないなら話せるな」
「?」
「俺はお前と戦えない。というより、戦うに値しないと言っておくか」

クロロはクラピカにジャッジメントチェーンを心臓に刺され、念能力が使えなくなり幻影旅団のメンバーと会話もできないことを話した。

「……♦」
「それで黙ってたんですね」
「ところで、カメリアは俺にも死んで欲しくないと思ってたんだな。」
「そりゃあ…短い付き合いとはいえクロロさんはもう他人じゃないんですから,死んでほしくないですよ…」

カメリアのいうクロロは今のクロロでなく図書館で会う時のクロロのことを言ってるがそれはあえて伏せる。

「そうか…」
「図書館で会っていた時のクロロさんは嘘なんですか?」
「嘘?」
「今と雰囲気がまるで違うので…」
「どうだろうな、少なくともあの時はカメリアを騙そうと思って近づいたつもりはなかった」

確かにクロロとの初対面は念能力が完全に遮断されていた状態でただの一般人だったので意図的に近づいてきたとは思えなかった。
それにしても今のクロロと図書館で会うクロロの差には驚くしかない。ただオンとオフの差が激しい人なのだろうか?
クロロと会話をしている間ずっと黙っていたヒソカの殺気が完全になくなっていたことに気づく。

「あ、ヒソカさん…」
「カメリア行くよ♣」
「えっ?あ、ちょっとヒソカさん引っ張らないでください!!」

クロロが念能力を使えないことを知って意気消沈したヒソカは踵を返すとカメリアの襟を引っ張って飛行船まで引き摺って行った。

「ヒソカさん!!私を殺す気ですか?!」

飛行船に乗ったところで手をはなししてくれたが,首が締まって死ぬかと思った。

「あれ、その子…」
「クロロ…出発してもいいそうだ♠」
「そう…」

飛行船の中にいたパクノダが人質交換したはずのカメリアがまた戻ってきていることに驚きはしたがヒソカに声をかけられまた素に戻る。
それからまもなくクロロを置いて飛行船は離陸した。

「そういえばイルミから逃げてきたんだって?♠」
「え“っ」

ヒソカに変装しているイルミにもう逃げていいよとメールを送りながら思い出したかのようにカメリアに投げかけた。
あまりの不意打ちに変な声が出てしまう。

「えっとですね…あれは逃げるつもりではなくて……」
「殺すって言ってたよ♦」
「うぅ…私の人生もここまで…」
「冗談だよ❤」

先程の真顔から打って変わってにっこりと笑顔になるヒソカ。

「きつい冗談ですね…イルミなら言いかねないですよ…」
「まぁそもそもボクがカメリアの足止めをしただけだったからね♦もう用は済んだしイルミが怒る理由がないよ♣」
「それならいいんですけどね…」

それじゃあヒソカに変装したイルミが怒っていたのは何故なのかと疑問に思ったが気にしないことにした。

「それより、これからキミはどうするの?♦」
「これから…」

記憶を取り戻したことによってこれからカメリアのしたいことが大きく変わるわけではなかったが、記憶が戻ってからうまく整理ができていないせいで自分の気持ちもよくわからないことが多かった。
記憶の整理はもちろん気持ちの整理もしたいと思っていた。それに…一つ気になることがありカメリアは一度ヨークシンに戻ってみようと思った。

「そう♦それじゃあ落ち着いたらボクに連絡頂戴❤」
「え?ヒソカさんに?」
「ダメ?♣」
「あ、いえ…わかりました」

あまりにも当たり前のように連絡しろというものだから疑問に思った。ヒソカがどう思っているかは知らないが一応友達だからということでカメリアは納得した。

飛行船が到着するとパクノダとはその場で別れると途中まではヒソカもカメリアに着いてきた。

「それじゃあボクはここで♠」
「ヒソカさんはどこに行くんですか?」
「それは内緒❤」

どうせ答えてくれないと思いつつ聞いたがやっぱり答えてはくれなかった。
そしてヒソカはカメリアとは別の方へ歩いていき、カメリアはヨークシンに向かって歩き出した。




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「東…か…カメリアを奪うにはまず念能力を取り戻さないとな」

クロロは断崖絶壁の頂上から東を向いて独り言を呟いていた。







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