長編 書き場

□整理
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ヨークシンまで戻ってきたカメリアは以前旅団について情報収集してる際に訪れたフリーマーケットのおじさんを探していた。

「あっ!おじさん!」
「ん?おーお嬢ちゃん。あの本ならまだあるよ」
「ほんとですか!よかった!」

記憶を取り戻す前に懐かしいと感じたあの本、あれは記憶を無くす前に見たビブリオさんの本だった。以前おじさんは“小さな廃村にあったもの“と言っていたからあの村はもうないのだと悟った。それでもこの本が見つかったのは嬉しかった。

「毎度」
「ありがとうございます!」

大切そうに抱きしめるカメリアを見ておじさんは値段をまけてくれた。
ビブリオさんの本を持って人気のないところまで移動するとカメリアは天空闘技場の近くにある図書館の裏へ”空間転移(テレポーテーション)”し、急足で図書館の中に入ると目的の人はすぐに見つかった。

「おお、カメリアちゃん久しぶりd」
「ビブリオさん!」
「?!」

突然名前を呼ばれ驚く図書館の館長ことビブリオはその場で固まってしまった。

「カメリアちゃん……もしかして…」
「記憶が戻ったんです!まさかよく通っていたここの館長がビブリオさんだったなんて、、、無事だったんですね、本当によかったです!」
「そうか…そうだったんだね…それはこっちのセリフだよ、君が無事で本当によかった…」

本当に嬉しそうに涙をこぼすビブリオさんと笑顔のカメリアに、近くにいた職員の人は状況が飲み込めないでいたがなんとなく察して間に割って入ることはしなかった。

「でも館長で慣れちゃったので館長って呼んでもいいですか?」
「ああ、それはもちろんだよ」
「館長はいつから私だと気づいたんですか?」
「名前を聞いた時だよ。成長して見た目は少し変わったが幼さはまだ残ってるし、オーラは少し違ったがあの時の名残があった。君は私のことを覚えてなかったがまさか記憶がなくなっていたとはね…」
「心配かけてすみません」

そう思うと、館長はこれまでの経緯をカメリアに問うこともなく本当にずっと黙って見守ってくれていたのだと実感する。
父親がいたらこんな感じなのだろうかと心の中で噛み締めた。

「ところで…それは?」
「これ、ヨークシンのフリーマーケットで見つけたんです。この図書館に置いてくれませんか?」

そういって大切そうに両手で抱いていた本を館長に渡す。

「これは…私の…」
「これ、完成してたんですね。まだ読めてないので今度ゆっくり読ませてください」
「はは、恥ずかしいが最初の読者にって約束だったからね…」

館長は照れ臭そうに本を受け取る。
カメリアはやりたことを1つ片付けると次にやりたいことをするため短い間ではあったが図書館をあとにした。いつもは心配そうに見送る館長も今日は明るく笑顔だった。

「さて…」

まず自分の置かれてる状況を簡単に整理しようと過去を振り返ってみることにした。

まず私はただの好奇心でハンター試験を受け、無事ハンターになることができた。
そしてその後は強くなるために天空闘技場に行き、ヒソカさんの提案によってイルミから特訓を受けることになったが、それはどうやら私をヨークシンに行かせないように見張るためだったらしい。
だけど、イルミの殺気から逃げるのに反射で”空間転移(テレポーテーション)”を使いヨークシンに行ってしまった。
そこでたまたま再開を果たしたゴンくん、キルアくん、レオリオのグリードアイランドを買うための資金調達を手伝うことになったが、途中で幻影旅団の団員に連れて行かれることになった。
結局連れて行かれた理由はクロロさんのよくわからない私への好奇心らしいが、それは未だによく理解できていない。

それから私は記憶を取り戻して、ヒソカさんと通っていた図書館の館長は幼い頃から知り合いだったこと。自分の本来の能力“自在の砂鉄(ブラックキラー)“を思い出した。

「ちょうど抜けてる記憶がまさかヒソカさんと館長の記憶だったんてねぇ」

偶然にも程がある。
記憶と能力は戻ってきたが、結局自分の旅に目的がなくフラフラしていることは変わりなかった。
マチはもう自分の道を歩き出してるというのに私は目標もないままだ。

「これからどうしよう…」

また振り出しに戻ったと思ったがスマホを触って連絡先の一覧を見て思い出した。

「あ、ゴンくんたちのグリードアイランドの資金集め…中途半端にしたままだ…」

おまけに飛行船に乗らず残ってしまったことに関しても連絡しなくてはいけないと思い、あいうえお順に並んだ連絡先一覧の中から上にいるキルアに電話をかけてみると5コールくらいで繋がった。

「カメリア!お前何してたんだよ!」
「わぁいきなり説教…」

思っていたより大きな声にびっくりして耳に当てていたスマホを少し離した。
これまでの事情を簡単に話すとキルアはわかりやすく大きなため息をつく。

「まぁ無事ならなんでもいいや。それと資金に関しては心配しなくていいぜ」
「えっ?」
「4日後に審査があるんだ。それに合格すればグリードアイランドの参加資格を得れるからこれから俺たちは修行する」
「修行?」
「ああ、だからカメリアも審査に参加してみない?」

ゲームをプレイするのに審査があるのかと驚きもしたがキルアの提案に興味を示したカメリアは承諾した。

「それじゃあ4日後にサザンピースのオークション会場で待ってるぜ」
「わかった」

次のやることが見つかってウキウキしながら電話を切った。








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