長編 書き場

□交信
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ヒソカが除念師を無事に見つけた後、決闘することになったカメリアは、クロロとヒソカの決闘を阻止するためにゲームを楽しみつつ修行に励むことにしていた。
指定ポケットのカードを集めるために他のハンターと戦うこともあり、そもそも入手するのにかなりの苦労をすることもあり、ゲームをプレイしているだけで十分実践経験を積むことができていた。

「フフッ♦︎君の成長がヒシヒシと感じれて嬉しいよ♠︎」
「毎回毎回、同じこと言ってますけど…」

ヒソカに戦い方や癖を覚えられないように、指定ポケットのカードを取りに行く際は必ず1人で行動していた。用が済めば近場の町で落ち合うようにしており、カードを手に入れヒソカの元に戻るたびに、少しずつ成長するカメリアを見てはヒソカはワクワクとしていた。

「カメリアと戦える日がとても楽しみなんだよ❤︎」
「私は全然楽しみじゃないですよ」
「ツレないなぁ〜♦︎」
「ところで、除念師の方がどうなんですか?」

別行動をしている際は特に何をしているかは聞いていなかったが、当然除念師の捜索の手がかりを探しているのだろうと思ったカメリアは進捗を訪ねる。

「ん〜♣︎微妙」
「マチたちには会えたの?」
「まだ♠︎適当に歩き回ってあっちから交信コンタクトが来るのを待ってるだけ♦︎」
「そうなんですね、交信コンタクトかぁ…」

そういえば、指定ポケットのカードを集めてるだけでスペルカードを活用したことがなく、存在を忘れかけていた。

「スペルカードってどうやって手に入れるんですか?」
「ん?♦︎そこのカードショップで買えるけど♣︎」

ヒソカはキョトンとして少し離れたところにある店を指差した。

「まさかマサドラに数日もいるのにスペルカードを買ってなかったとはね♣︎」
「カードを買うって発想がなかったです….」

ソロでカードを集めていることもあり、他のプレイヤーに比べて情報収集もまともにできてなく基本的な知識すら抜けていた。
ヤレヤレと少し呆れつつもヒソカはカードショップに連れ、簡単に説明をしてくれた。

「ランダムのパックになってるから、いくつか買っておくといいよ♦︎便利なカードほど確率は低いからね♣︎」
「好きなカードを買えるわけじゃないんですね」

とりあえずお試しで3パックほど買って開封してみる。以前見たことのある再来
リターン
や、ヒソカが言っていた交信コンタクトなど、便利そうなカードが入っていた。

「へぇ♦︎カメリアは運がいいんだね♣︎」
「そうなんですか?」
「これ、かなりレアみたいだよ♦︎」

そういってヒソカが指差したカードは離脱
リーブ
というカードだった。カードの説明欄を見ると、他のカードに比べて文章が短く、“対象プレイヤー1名を島の外へ飛ばす。“というシンプルなカードだった。

「これがレアなんですか?」
「ゲームのログアウトの仕方を知ってるかい?♦︎」
「あ….」
「このカードを使うか、港に行って番人を倒す以外ないんだよ♠︎」
「なるほど….」

現実に戻りたい人たちが離脱
リーブ
を求めてマサドラの周辺に止まっている人たちがたくさんいる話などを聞くと、どれだけこのカードの出現率が低いことはとてもよくわかった。
運良く手に入れたカメリアは大事にバインダーにしまう。

「そういえばヒソカさんが言ってた交信
コンタクト
も手に入ったんですけど、会ったことのある人としか会話できないんですね」
「そうだよ♦︎」
「だからクロロさんの名前にして旅団の人とすれ違うのを待ってたんですね、ようやく理解しました」

クロロの名前にするメリットはいまいち理解できていなかったカメリアは交信
コンタクト
の説明文を見てようやくヒソカの狙い等もわかってきた。
なんとなく自分がこれまで会ったりすれ違った人が気になり、リストを開いて名前を確認していく。
すれ違った人も載るせいで、かなりたくさんの名前が記載されており、流す程度に見ていたがその中にとても既視感のある名前が表示されていた。

「あれ…..?」
「ん?♦︎」
「ゴン君とキルア君の名前が…」

続けて“ゴン“”キルア“と二人の名前が載っていた。どこかですれ違っていたのだろうか、お互い全く気付かなかったのだろう。

「二人とも審査受かったんだ。よかった〜」
「試験?♦︎」
「グリードアイランドのプレイ権を得るために念の審査を受けるって言ってたんです」

審査の合否は全く知らなかったのでリストに名前が載っていることで合格したことがわかりとても嬉しかった。

「ちょうど交信
コンタクト
を持ってるんだし、連絡してみたら?♣︎」
「そうですね、スペルカードちょっと使ってみたかったんです!」

初めてカードを使うカメリアはドキドキしながらバインダーの枠にセットすると、少し躊躇いながらスペルを発する。

「コ、交信使用
コンタクトオン
ゴン」

少しすると、バインダーから驚いた声が聞こえてくる。

「えっ?!カメリア!?」
「久しぶり!二人とも合格おめでとう!」

開口一番に審査合格を祝うと、ゴンからの感謝の言葉や、キルアからの罵声が飛んできたがそれもまた久しぶりのことで嬉しかった。

「で、お前今どこにいるんだ?」
「今はマサドラだよ」
「俺たちは岩石地帯で修行してるんだ!」
「また修行?二人とも精が出るね〜!」
「暇ならお前も来いよ」
「いいの?」
「うん!紹介したい人もいるしね!」
「紹介したい人?」

二人の口ぶりから近くに誰か仲間がいるということはなんとなく察した。修行している場所も多少遠いが徒歩で行けるくらいの場所ってこともあり、二人の提案の乗ることにした。
交信
コンタクト
の時間は3分が限度のようで、二人には明日には向かうと伝え通信は切れてしまった。

「っということになったので、数日戻らないかもしれないです」
「おっけ〜♦︎楽しんで♣︎」

通信中ずっと黙って聞いていたヒソカはすぐに了承した。

「はい、用事が済んだら連絡してね♦︎」
「えっ?」

そう言ってスッと交信
コンタクト
のカードを手渡してきた。

「ヒソカさん….ほんとにこのゲームどこまでやってるんですか….」
「全くだよ❤︎」

にっこりと笑うヒソカの表情からは何が本当で嘘なのかカメリアにはまだ理解できなかった。







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