Novel

□「僕は、」
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!軍覚軍
!軍人が若干病んでる


「俺」のことを感情の見えない笑顔を浮かべて見るこいつは、本当は俺なんかよりずっと残酷なんじゃないかと、少しだけ思った。
そしてその顔のまま、こいつと俺の性格以外で唯一違う場所でもある緑色の瞳を僅かに細めてもう一人の俺が言った言葉に今までに無い程の殺意を覚えたのはきっと間違いではない、と思う。

「……愛してるよ、」

それが俺に向けた所謂「愛の言葉」だとはすぐに分かった。
こいつの言う言葉に嘘はない。……もっと言えば、怒りだのなんだの、そういう汚いものを全て俺に放り投げて育ったこいつの感情はどこまでも無邪気で裏がない。
……つまり、これは嘘じゃない。
自分で考えた事に対して、そんな事は分かっているとばかりに軽く舌打ちし、目の前の相変わらず笑顔を崩さないあの馬鹿に吐き捨てる。

「……俺は、大嫌いだよ。」

そんな事を何度言おうが、こいつが俺の「体」の主である限り殺す事なんて出来ない事は分かりきっているのだが。
いくら同じ身体で生きていようと、幾ら愛してると囁かれても、こいつだけは好きにはなれないと、そう断言できる自信がある。
それでも懲りる事も飽きる事もせずに俺を愛してるとのたまうこいつは、やっぱり相当な馬鹿だと呆れ混じりの目で表情を変えないあいつを見る。
そもそも、最初からこいつはどこかが可笑しかった。
……俺の気を引く為に俺の振りをして人を殺すなんて、まともな人間にできる芸当じゃない、と思った所でやっぱりこいつはかなり重症の馬鹿なのだと思い出し、それを言葉にする代わりにもう一度舌打ちをした。


(そして、そんな奴のことを嫌いだ嫌いだと言いながら消えようとしない俺も、きっとどこかが可笑しくなっているんだろう、と少しだけ思ったりもした。)








ひとりぼっちの感情論
(嗚呼、どうしようもないな。)






20110809

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