Novel

□きみとぼく
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!英→覚。



「……阿呆か。」

何を今更、とでも続けそうな心の底から呆れた表情をしてそう言った彼は、血に濡れた顔のままで嘲るように笑いながら続ける。

「俺は、お前なんて大嫌いだよ。くそヒーロー様」

最後にしっかり嫌味もつけるのを忘れない辺り、彼は本当に私の事が嫌いなのだろう。
それは自分も同じ筈なのに、そうかい、と短く返事をしてそのまま質問自体を無かったことにする事をしなかった理由はきっとただの気紛れなのだろうと勝手に自己完結させて、次に出た言葉は殆ど無意識だった。

「……何で私は、君が好きなんだろうね。」

自分で言った言葉にこんなに驚いたのはこれが初めてだった。
……一体何を言ってるんだ、私は。
前言撤回しようとして口を開きかけた瞬間に、「知るかそんなもん」とさして興味もなさそうに彼が呟く。どうやら話を聞いていなかったらしい事に少しだけ安堵した。
……無意識に出てきた言葉に真面目に返事をされたら、こっちが困る。
そう理由をつけて小さく息を吐く。

「……私も、君が大嫌いだよ」

矛盾している、なんて言われなくても分かっている。
そもそも、自分でも何故あんな事を言ったのか分からないのだ。
(だって、俺が覚醒君を好き、だなんて、)
(そんなの、あり得ない)
有り得ないと思いながらもどこかそれに納得した自分が居る事なんて、そんなの絶対に認めてやるものか。




「ヒーローはいですか?」
( 君のことなんて、おれだって大嫌いだよ、ちくしょう! )






20110813

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