Novel

□!
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死ねばいいと思った。
みんなのヒーローなんて言って毎回俺が居る所にやってくるあいつがうざったくて殺したくなったから殺した、それだけの筈なのに、それだけの事を終えた後にあいつの死体を見てわけもわからず泣く自分が。
俺が殺そうとするのを抵抗しようともせずに受け入れて俺に殺されるあいつが。
そして、何度それを繰り返しても飽きることも懲りることもなくそれをまたやるもう一人の自分のことも。
だから、いつも俺はこれで終わりにしようと思って死のうとするのに、気がついたらまた生き返ってこの狂った街の住人どもやあのくそヒーローを殺しているのだから笑い話にもならない。
また今日も自然と流れてきた粒を軍服の袖で拭いながら、そんな事を少しだけ思ってみる。
足元にうつ伏せになって転がる青い髪の男を軽く蹴り上げて、そこに見えた顔にいつの間にか流れている涙も引っ込む程驚いた。
……こいつ、笑ってやがる。
こいつが死ぬ直前に何を考えていたのかなんて俺が知る訳ないし、例え知っていたとしてもする事は変わらないから意味はないのだが、今まで恐怖や痛み歪んだ顔や泣き顔しか見てこなかった身としては、自分でもわかるほどの間抜け面になるには十分な程度の驚きをこいつの微笑は与えたらしい。……その顔自体は、何の変哲もないこいつがいつも見せるような自信に満ち溢れた若干苛つく笑顔ではあったのだが。
ただ、俺がその笑顔を見た瞬間にもう一人のあいつのことも今まで考えていたことも
全てがどうでもよくなって気が抜けてしまったのも事実なのだから、どうやら俺はこいつに相当呆れているらしい。

「……馬鹿野郎が、」

俺に殺されることに嬉しがってんじゃねぇよ。
当然の如く、既に死んでいるスプレンディドが返事をするはずも無かったのだが。
何故だか、少しだけ本当に笑いが零れた気がした。



ありがとう、






111013/過去拍手お礼

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