黒子のバスケ

□この胸の拠り所
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ー 木吉が死んだ ー











朝のHRで、急いで駆け込んできた担任がそう言った。

『通学中、車に轢かれる寸前の小学生を助けたらしい』

死? 何が…だれが死んだって?

『幸いその小学生は助かったが…』

おい、先生。誰のこといってんだ?

『……当たり処が悪かったらしい…』

…、そういやアイツ遅いな…。

『病院に運ばれた時にはもう…』

いつもならもう来てるはずなのに。

『バスケ部は至急準備しろ』

風邪か? アイツは馬鹿だが…風邪くらいひくだろ。

『おい、日向? 日向!』

仕方ねぇなぁ。
今日くらいはお見舞いにでも行ってやるか。

『おい、伊月! 相田! 日向が全く反応しないぞ!』

それで、少しだけ甘やかそう。

『あとは私たちが何とかします!
先生は先生で準備をお願いします!』
『ぁ、ああ、解った』

オレってあんまり素直になれてねぇからな。

『どうする? 監督!』
『とにかく呼び掛けるしかないわ!』

だから、たまにならいいだろう。

『おい、日向! 日向!!』
『お願い日向君! 返事をして!!』

遠くから伊月と監督の声がする…?
どうしたんだよ、二人して。
そんなに慌てて何かあったのか?

「……ぅが! 日向っ!!」
「日向君っ!!!」
「───────ッ!!?」
「ぁぁ…よかった、漸く気付いてくれたわ…!」
「日向! 急いで支度しろ!」

          …ドクン

「おいおい、どうしたんだよ、二人共。
何かあったのか?」
「何かって…!」
「鉄平が…鉄平が大変なのよ!」

        …ドクン

「木吉が大変? そういやアイツ居ねぇな。
風邪か何かか?」

      …ドクン

「何言ってるの!?鉄平は…鉄平はね…!」

    …ドクン

「いいか、日向。落ち着いて聞けよ。
木吉は今朝─────」





  …ドクン





「─────死んだんだ」





ドクンッ





「は、ハハ…。何言ってんだよ、笑えねぇ…」





オレの口から掠れた笑いが溢れると伊月は苦汁に満ちた顔を、監督は───泣いていた。










……ぅ、嘘だ…嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうそだ嘘だうそだうそだうそだうそだ嘘だうそだ嘘だ嘘だ嘘だうそだ嘘だ嘘だ嘘だうそだうそだうそだうそだ嘘だッ!!!










気が付いたらオレは走っていた。





伊月たちの制止も聞かず、





ただただ、前へ。











オレは信じない。








アイツが───木吉が死んだだなんて、


















絶対に、

















信じない












 
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