短編
□Prologue-02
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――遥か昔、世界に一つの星が落ちた。
それを嘆き悲しんだ女神は、
一人の少年と共に世界を再生させた。
だが女神は力を使い果たし、
眠りについてしまう。
女神は言った。
「私を目覚めさせよ」
暗い路地。建物と建物の隙間。
壁に寄りかかる銀の髪の少年は、左手で血の滲む脇腹を押さえながら、頭をよぎったオルフィス教の聖書の一節を思い出した。
思わず、舌を鳴らして呟く。
「あんたのせいで、俺達は迷惑してるってのに」
透明な天蓋越しに衛星ニクスが闇を照らす。
夜の女神は不敵に微笑んだ。
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