本編
□黄金の聖職者
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―――遥か昔、世界アールマティに一つの星が落ちました。
やはり、オルフィス教の聖書の一説だ。
―――星は大地を砕き、多様な生命を死なせました。
「姉貴、これって一体?」
歩きながらエンはリシアに尋ねた。
―――それを嘆いた女神オルフィスは人の生き残りであった初代(オリート)と共に世界を再生させました。
「…さぁ?もしかしたらこれも魔力を使った術の一つかもな」
―――しかし女神オルフィスは力を使い果たし、眠りにつきました。
「…だとしたら属性はなんだろうな……"音"?」
頭を捻り、ようやく思いついた単語をリシアは口に出してみる。
―――その際、女神オルフィスは初代に告げました。
「世界は再生した。だが人々の争いで大地は死ぬだろう。私の復活を望め。私を目覚めさせよ。さすれば私はまた世界を救おう」
「へー、そんなのもあるんだ」
―――また、続けて言いました。
「君に、私の力を授けよう。私の変わりに世界を見守ってくれ」
「確かあったはず。炎属性の進化型だ、多分」
――初代は女神オルフィスから力を授かり今も世界を見守っています。
「そんなのも使うなんて…流石は涙の神託者の力を女神様からの贈り物と考える連中だなあ」
口角を上げ、エンが言う。
―それはずっと昔から、そして未来も。
「ほら、見えてきた」
リシアは広場に集まっている人集りを指差した言った。
「女神オルフィスが目覚めるその日まで」
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