本編

□白銀の自称旅人
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 魔力(ルナート)の組み合わせの番号ゼロ…"時空"の属性は、使える者が非常に少ない。一時的に時を止め、空間という空間を駆け回り、その空間すら歪ませたり、変化させる。
 それが"時空"の特性だ。

 一見すると使えなくても困らない属性だが、使えると戦場でかなり有利になれる。
 時を止めるということは、敵が動くことはないということ。その状態で敵の背後に回り込めば、敵は今まで目の前にいた人物が急に後ろに移動したという錯覚に陥る。一種の瞬間移動といえるだろう。

 空間の変化も、先程彼が使った術のように此方側を見えなくしたり、リシアが建物の壁を垂直に走り回れたのも全部"時空"属性のおかげなのだ。

 もちろん、欠点もある。
 タイム・ストップはそれを解除するまで敵を切りつけても傷はつかない。空間の変化も長い時間使えない。

 その場しのぎのようなものが多いのだ。だがリシアはそれを一番多く使える。

「こんなヘンテコな術が多く使えてもなぁ」
「そんなヘンテコな術が使える涙の神託者(オルクル)は少ないんだ。まぁ、その属性を少しは持ってるやつは見かけるが、少なすぎで術にすらならないだろうな」

 彼が言う。
 魔力(ルナート)が見える彼は、そんなのも分かるのか、と思うのとと同時に、彼の目は一体どのような構造をしているのか、と気になってくる。

 もしかしたら、全身魔力で構成されているのかもしれない。そうだったとしたら、神秘的な白銀の髪も、透けるように白い肌も証明出来そうだ。

「なぁ、まだ質問は受け付けているか?」
「さっきの条件を除けばな」
「お前の考えている作戦を話してくれ」

 分かった。と彼は言い、説明する。
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