本編

□玉座と粒子
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 ガラガラと、盛大に音を立てシロガネは沢山の物の中へと落ちていった。

「て…天井にワープゲートを書くヤツがいるか!」

 シロガネは床にあった穀物の入った袋の山の上で怒鳴った。
 辺りには落ちる時にぶつかって壊した木箱やゴミがある。シロガネにも多少それらが乗っている。

「っても、案外こういう所って見っけ辛いんだよな。ほらココ薄暗いしさ」

 天井のワープゲートから蝙蝠のようにぶら下がっているリシアは言う。
 まるで重力に逆らうように、いや、重力の向きが逆転し、天井こそが立つべき地面のようであった。

 そこから何も置いていない床の所に降り立ち、シロガネに歩み寄る。

「…ココは城のどこなんだ?」

 シロガネの問いの後にリシアは手を差し出し、少し間を置いてシルバーのリングをはめた腕がそれを握り返し立ち上がる。

「三階の倉庫。左の方に進めば階段があるはずだ。ただ、兵はそれなりにうろうろしてるけどな。出来れば見つからないようにしたいもんだ」

 左手のみで埃を払ったシロガネは了解したように頷いた。
 キィと軋む倉庫の扉を開けると、青い垂れ幕に書かれたメタトロニオス王国の国章が目に飛び込む。

 目を横に移すと鈍い銀色を放つ金属のようなものがレンガのように積まれているのがわかる。これがこの城の壁なのだ。

「――…やはり広いな」

 シロガネが辺りを見回し呟く。リシアも同じように左右を見る。
 倉庫を出ると一本道の廊下がしばらく続く。廊下には同じような倉庫がいくつか並び、食料、武具、生活用品がそれぞれ入っている。それを取りに来る兵士やメイドも多い。

「さっさと行こう。こっちだ」

 リシアが言って動く。シロガネもそれに続く。

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