本編

□山光水色の森
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「え、けどこれ結構重いぞ」

 と、言いつつもシロガネは持っていた槍をリシアに渡す。

 改めて形を観察すると、ハルバートのように斧のように出っ張った部分もあり、鉾のように突くよりは斬るに特化した武器といえるだろう。
 柄と刃の間には魔力石(セレークレスタ)であろう、トパーズのように光の当たり方によって色の変え、だが水晶のように透明度の高い不思議な石をつけている。

 魔力石は色によって特化能力が異なり、赤ならば炎属性が、青ならば氷属性が最も高い能力構築の力を持っているといえるだろう。
 また、透明度が高ければ高い程、純度の高い魔力石で、魔力(ルナート)の量にも関わってくる。

「これ、何の属性の魔力石なんだ?」
「初めて見るか?それは全ての属性が扱えるレアな魔力石で、本来は無色なんだが光の条件と持ち主の特化能力によって色が変わるんだ」

 確かに、リシアが持っていると下から少しずつ灰色に変わってくる。つまり、リシアの特化能力は時空属性であることを表すのだろう。

「本当だ…けど、シロガネが持ってた時は変わらなかったよな?」
「それは俺が特化能力を持たないからだな」
「特化能力を持たない!?」

 魔力と呼ばれるものは大きく陽魔力(フルナート)と陰魔力(ニューナート)の二種に分かれ、組み合わせや数によって様々な属性をつくる。
 属性は陰陽どちらかに傾いた方が安定しやすく、自然に最も属性構築しやすい属性、つまり特化能力が生まれてくる。

「それじゃあバランスよく色んな属性が使えるってことか。使用能力は?」

 おかしな話だが、つまりはそういうことだろう。すると問題は使うことのできる属性、使用能力の多さだ。
 属性は全部で十五種類と予測されーといっても時空属性が零番から始まるから十五番まであるとしたら十六種だと思うのだがー今のところ見つけられた属性は十三種だ。

「使用能力?とりあえず全部は使えるな」
「全部!?それって十三種類全部なのか!?」
「ああ。全部」

 驚愕した。嘘とも思えるが、確かにシロガネは時空属性も扱うことも出来たし、対をなす炎と氷も使ってみせた。きっと、本当なのだろう。
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