本編
□水中下の花
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道中で見つけた宿は二部屋予約できた。チェックインにはまだ早く、部屋には入れない為、まずは三人でハルワタートの情報屋に会いに行くことにした。
シロガネは迷わず、建物の隙間を縫うようにして進み、どんどん狭い道へ変わり果てる。並んで歩くのも難しくなり、リシアは最後尾で必死にアルバの姿を追う形になった。
「おぉ、お主らか」
「あ?なんでルタート担当の情報屋までここにいんだよ」
シロガネがたどり着いた先は、体を傾ければ何とか二人が並べる小道で、そこにはフード付きケープを着た傷の残る少年と、浮浪者のようにしか見えない老人がいた。
「ちっと用事があるらしいでぇ」
「聞くか?今なら三万オーラムじゃ」
浮浪者の老人と、グランはそれぞれ言う。よく見ていないと、老人口調が浮浪者の方から聞こえてきそうだった。シロガネは率直に拒否する。
「んでぇ、新しい人影が二つもあんだが…こいつぁ?」
浮浪者は言うと、シロガネがリシアとアルバを指差して紹介する。薄汚れた包帯を目に覆っていることから、視力は乏しいのではないかと考えるが、老人は頷き、明確に指を指してリシアとアルバを判別する。
「なんだよ。普段は見えねぇ見えねぇ言ってるくせに」
「舐めんなよぉてめぇ。放出してるエネルギーの差で体格、性別くれぇ分かるってのぉ」
老人の言葉に、シロガネは言う。
「へぇ…じゃあリシアの性別は?」
「女ぁ。ちったぁ筋肉質だが、エネルギー消費が男とはちげぇ。少ねぇからなぁ」
おぉ、と拍手が起こる。老人は得意気にするも、何故にここまで喝采が起こったのか分かってはいないようだが。
「俺はグレッグだぁ。このチビと同じで遠い、クライヴ家の涙の初よぉ」
「同じで遠い?」
「分家なんじゃ。わしはクライヴ家の中のグレンの名の者。だからグラン・グレン・クライヴ」
「俺はグレイの名でぇ。グレッグ・グレイ・クライヴ」
リシアの問に、グランとグレッグは答える。どっちもどっちで似てる、と言うと二人は不満そうな表情を浮かべる。
「ヘハロト大陸でのクライヴ家は、この二つの分家が主流だな」
シロガネがそういうも、リシアの興味は向かわなかった。
「それで、お聞きしたいことがあるのです。ハルワタートに来ているというサダルフォンの技術団の方は、今どちらにいるか、分かりませんか?」
アルバが二人に尋ねると、グランはニヤリと笑う。
「知っとる知っとる。なんじゃ、さっきの特別価格の時に聞いとけばよかったのにのぉ」
グランの言葉にアルバは首を傾げると、グランは親指と人差し指、中指の三本を立てて言う。
「残念、正規の値段じゃ。ま、これでも安い方じゃろ」
「えーっと…三万オーラムですか?」
「違うのぉ。七万オーラムじゃ」
倍のように上がった値段を聞いて、リシアは嫌な顔をする。足元を見られている。そう感じたからだ。