るるりら。

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「二人で行って来ればいいじゃん!」

「だめだめ、青葉も道ずれー」

「なんでそういう酷いことをサラッと言うかな晃ちゃん!」

「あーちゃんお願い!うちの一生のお願い!」

「アンタそのお願い何回目!?」



無理にでも連れて行こうとする二人から必死で逃げる青葉。
しかしそれは叶わず、腕を掴まれ引きずられる。
もはやお願いではない。

もう抵抗しても無駄だと理解した青葉は、だらんとしたままズルズルとテニスコートまで連れて来られた。
一方琴音と晃はとても清々しい笑顔。
なんて皮肉だろうか。


「………はぁ」


「おっ、人がたくさん」

「さすが人気だねぇ!素敵!」



テニスコートでは皆が素振り、ボール拾い等を行っている。
周りには女子がきゃあきゃあと騒いでいる。
声援や、中には食べ物を渡そうとしている人も。


「…おいおい跡部、やっぱりあぁなったじゃねぇか」

「いつもより多くなってませんか?」

「…チッ、やはり駄目だったか」



一方レギュラーの面々は、朝貼った張り紙が原因だと分かっている為、大部疲れていた。
朝からずっと色々なものを渡されたり言われたり、明らかに自分がマネージャーになれるようにしているのが分かる。

それでは駄目だ。

食べ物を作れる、運動ができるなど、特技があるのは良いが、好かれる為では駄目。
ただ単にマネージメントができなくては。

少なくとも今日のうちに、そんな人はいなかった。
明日以降も、現れるとは思えない。
さて、どうするか。




「まぁ決定権は俺らにあるんやし、な?」

「…あぁ」



それから相変わらず女子の歓声がうるさい中、テニスを続けていた。






一方、三人はというと…――



「はっははーイケメンぞーろいーー」

「帰りたい」

「だめだって、せっかくだから会いに行こうよ」

「いざ!部室!」

「はっ!?ちょ、まさか…」

「青葉、人生楽しまなきゃ損だよ」




黒い笑顔を見せた晃を筆頭に、ズカズカと部室へ向かった――







「た、助けて……!」

青葉の悲痛な叫びは、誰にも聞こえなかった。







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