るるりら。

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驚きと安心で眠ってしまった琴音を、青葉が重そうに抱き抱える。
そんな青葉によってきたのは忍足。
何も言わず、青葉から琴音を抱き寄せ、よくに言うお姫様だっこをした。抱く腕に力が込められた。

晃は今だ、痛めた腕を押さえている。


「……………琴音」


青葉が呟く。
その顔はとても怒りが表れていて、少し怖い。

しーんと静まり返った中、跡部が口を開いた。



「…話を、聞かせてもらおうか」

「…跡部くん」

「何で、琴音が傷付かなあかんねん…何でや」

「忍足…」


心配そうに琴音を見つめる跡部達を見て、青葉と晃は言うしかないことを悟った。
もちろん、自分達にも分からない。何故琴音が呼び出されて、暗闇に独りぼっちで居たのか。何故琴音なのか。
分からないけれど、確かに分かること、それは嫉妬。
自分達がマネージャーになったということへの嫉妬だ。


「…あたし達が、マネージャーになったからだよ」

「!」


にこりと笑って晃が言う。
分かってたんでしょ?それくらい。
分かってるのに、話すことなんてないよ。


「それに、これは私達の問題だから。琴音を守れなかったのは、私の責任」

「青葉さん…」

「晃ちゃんが同じように呼び出されていたことに気付けなかったのも私の責任」

「!青葉、知って……」

「晃もなのか!?」

「じゃあその腕は…!」



皆が一斉に晃を見る。押さえられた左腕が痛々しい。
なんで言うかな、晃は青葉に視線を向けるが、それは交わらない。
鳳や慈郎が駆け寄る。心配して欲しい訳じゃなかったのに。


「晃ちゃん、強がりは禁止。ここには、晃ちゃんを大切にしてくれる人が沢山いるんだから…」

「青葉…」


切なげに晃を見る。
知ってるよ、悔しいんだよね。守るって言ったのに、琴音を守れなかった。
それは青葉の正義に反する。それが予想外の出来事だったとしても。


自分だけ、悲しい重いすれば良いと思ってるんでしょ。







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