るるりら。

□02
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―A組―


ガヤガヤと、それぞれ仲の良い友人を見つけた面々は集まって談笑中。
馴染めていない者も数人いるが。

ガララ…と静かに扉を開き、青葉は教室へと入った。


―途端、一気に視線を浴びた、気がした。

おそらく二年間の学校生活では見たこともない人物だからだろう。実際、誰、あれ?誰かに似てる…。などの声も聞こえる。
あるいは青い瞳に驚いているのか。それは分からないが、青葉は気にせず自分の席を探した。



「(前から三番目…うわ、微妙)」



黒板から近くもなく遠くもなく、更には廊下側という、なんとも残念な席。
ふぅ、と一つ溜め息をついて席につく。

今だ向けられる視線に、若干気まずくなりその方向を向こうとしたところで、女子のきゃああっ!という声が聞こえた。

びくっと体を上下に揺らしながら、女子の視線の先を見る。
そこにいたのは、テニプリキャラ、跡部だった。




「…あーん?」

「(……跡部、け…なんだっけ?…あ、景吾だ)」



低く、鼻にかかったようなよく響く声に、黄色い声があがる。

クラスで一番人気の人が跡部だよ!という琴音の言葉を思い出しながら見つめる。
あぁ、確かに、凄い人気だ。なんてぼんやり考えていると、ちらり、と跡部と目が合った。


え、と固まった青葉など露知らず、跡部はすぐに視線を逸らした。
二人の視線が絡み合ったのはほんの一瞬だった。





それから二人の視線が交わることもなく、相変わらず周りの青葉に対する視線が消えることもなく、時は過ぎて行った…――








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