るるりら。
□02
3ページ/5ページ
―H組―
バタバターッと駆け足で自分のクラスに着くと、勢い良く扉を開けた。
「おっはざまーしっんぐ!」
「「………………」」
しーんと静まり返る教室を軽々と無視し、ズカズカと自分の席へ向かった。
一方周りの、先に教室に入っていた生徒達は唖然。
やはり誰…?や、あの髪の色珍しいわ…。なんて声が聞こえる。
しかし当の本人琴音は、全く気にしない。
というより、慣れている。
不思議とでも言うように自分を見る視線は、青葉や晃が向けないだけで十分。
もし理解してくれるというのならそれは大いに嬉しいことだが、理解してもらう為に自分が変わろうなんて更々思わない。
ニコニコ…いや、ニヤニヤのが正しいが、そんな顔をしながら席につく。
ふい、と横を見れば、忍足侑士がいた。
「う……………うわっほーおおい!!おっしーやないかい!エロボイスちょうだい!聞きたい!てかホントに伊達眼鏡なんすか!?あっ、そうだうち今日からこのクラスに転入しますた鮎川琴音やねん!よろしゅう!」
「………え」
いきなり話しかけられて目を見開く忍足。
そもそも「おっしー」って何だ。と思うのだが、まず先に琴音の容姿にびっくりする。
青髪のツインテールに同じく青い瞳。
カラコンということは分かるし、自分の周りにも赤髪がいるのだが、女子でここまで髪の色を変える人がいたのか…と、不思議な感覚に包まれた。
「お、おぅ…よろしゅうな」
「な、生よろしゅう…!!」
苦笑いで挨拶をする忍足の声に、更ににこやかになる琴音。
もう返す言葉が見つからない。
一通り話せて満足したのか、固まっている忍足を華麗にスルーし、前を向いて違うことを考えだす琴音。
相変わらず忍足は唖然とするばかりであった。
「な、なんちゅー子や…」
それから、何事もなかったかのように時間は過ぎて行った…――
.