るるりら。

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―H組―


バタバターッと駆け足で自分のクラスに着くと、勢い良く扉を開けた。


「おっはざまーしっんぐ!」

「「………………」」


しーんと静まり返る教室を軽々と無視し、ズカズカと自分の席へ向かった。
一方周りの、先に教室に入っていた生徒達は唖然。
やはり誰…?や、あの髪の色珍しいわ…。なんて声が聞こえる。

しかし当の本人琴音は、全く気にしない。
というより、慣れている。
不思議とでも言うように自分を見る視線は、青葉や晃が向けないだけで十分。
もし理解してくれるというのならそれは大いに嬉しいことだが、理解してもらう為に自分が変わろうなんて更々思わない。


ニコニコ…いや、ニヤニヤのが正しいが、そんな顔をしながら席につく。
ふい、と横を見れば、忍足侑士がいた。



「う……………うわっほーおおい!!おっしーやないかい!エロボイスちょうだい!聞きたい!てかホントに伊達眼鏡なんすか!?あっ、そうだうち今日からこのクラスに転入しますた鮎川琴音やねん!よろしゅう!」

「………え」



いきなり話しかけられて目を見開く忍足。

そもそも「おっしー」って何だ。と思うのだが、まず先に琴音の容姿にびっくりする。
青髪のツインテールに同じく青い瞳。
カラコンということは分かるし、自分の周りにも赤髪がいるのだが、女子でここまで髪の色を変える人がいたのか…と、不思議な感覚に包まれた。


「お、おぅ…よろしゅうな」

「な、生よろしゅう…!!」


苦笑いで挨拶をする忍足の声に、更ににこやかになる琴音。
もう返す言葉が見つからない。

一通り話せて満足したのか、固まっている忍足を華麗にスルーし、前を向いて違うことを考えだす琴音。

相変わらず忍足は唖然とするばかりであった。





「な、なんちゅー子や…」





それから、何事もなかったかのように時間は過ぎて行った…――





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