テニプリのお部屋
□絶妙のタイミング
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これは10年後の柳蓮ニくんとのお話。彼と貴女は今25歳。テニスは週に一、ニ回仕事の合間にしている程度という設定。
「絶妙のタイミング」
中、高、大とずっと蓮ニくんを友人として見てきたけど、大学卒業してから二人は友人としてではなく付き合い始めた。
そして蓮ニくんとはテニス以外にもいろんなことで一緒にいる時間を増やし新しい楽しみを共有した。
誰しも経験があると思うけど私も好きな人とのデートを重ねて好きになっていく度に帰り際がつらい。いつも決まってこんな思いが強くなっていた。
(あ〜あ、帰りたくないなあ。蓮ニくんとずっと一緒にいたいよ。離れたくない。電車、来なけりゃいいのに)
今日の私も例にもれず頭でお決まりのくだりをつぶやいていた。
だけどそれが今日に限って無意識に音声として外に出てしまっていた。
「ならば…俺と結婚するか?」
電車を待つ駅のホーム、顔色ひとつ変えず落ち着いた声の蓮ニくんの口からさらりとこんな語句が流れた。
「へ?蓮ニくん?今?」
彼の顔をまじまじと見上げる。
口をあわあわさせてあとの問いが続かない私を蓮ニくんはじっと見ている。
ドサッ
人目もはばからず私は倒れ込んだ。
「んっ…ふっ」
私の体当たりでわずかに洩れた吐息。
温かな腕に包まれながら答えた
「うん、する!」
聞こえた途端、腕の力はぐっと強くなった。
〜END〜