タイガー&バニー《ノベル》
□赤鼻のバニカイ
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「楓〜、元気か〜?父さんだ。」
「あ、お父さん。今日はどうしたの?」
クリスマスの予定がわかり、仕事の合間に虎徹は娘に連絡を入れていた。
いつも一緒に過ごせないでいたクリスマスが今年はパートナーであるバーナビーの計らいで特別に半日休めることになったのだった。
「あのな、今年のクリスマスのことなんだけど。」
「わかってる、また仕事なんでしょ?」
「ぬははっ。ハ、ズ、レ〜!」
「ハズレって?」
「だから休みなんだよ。クリスマスの日が。まあ、半日だけどな。」
「それじゃあんまり時間ないじゃない。」
「そうだな。だけど半日あったら楓を好きな所に連れていけるぞ。」
「う、うん。でもお父さんがこっちに帰って来てたら移動だけで時間がつぶれちゃうよ。」
「そこでた、少しは大人扱いされたい楓に父さんからお願いがあるんだけどきいてもらえるかな。」
「もしかして、私がシュテルンビルトまで行くの?」
「さ〜すがは楓、頭いいな。父さんが往復してたら時間が足りないんで、悪いけど楓、こっちに出てきてくれないか?もちろん、駅までは迎えにいくからさ。な?どうだ?」
「う、うん。でも私、一人でまだエクスプレスに乗ったことないもん。なんかこわいなあ。」
「心配するな。エクスプレスは眺めのいい特等席をとってやるから退屈はしないし、シュテルンビルトは終点の駅だから眠りこんでも懲り越しなし。ちゃーんと着くからさ。」
「そうじゃなくて。私、女の子だし。子供だし。もし知らない人から声をかけられて誘拐とかされないかなあ。」
「なんだ?心配か?お前はネクストなんだぞ。多少の心得はあるだろ?。それに助けが必要ならいつでもワイルドタイガーを呼べばいい。どんな時もどこからでもすぐにかけつけてやる。」
「うん。そうだね。」
「よーし、決まりだな。じゃあチケットは父さんからプレゼントするから気をつけてくるんだぞ。駅についたら電話してこい。」
「うん。わかった。」
電話を済ませた虎徹は娘と過ごすクリスマスを思い、ほんわかと点る明かりを胸に仕事に励んだ。