創造せし者達

□閑話休題
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 雷龍は二人に挨拶を交わすと、突然ニッコリと笑ってもじもじと喋り始めた。
「ねえ、ご主人。実はお雷、とっても素敵な浴衣を見つけたの。蝶々の柄が大人っぽくてね、でも可愛らしくもあったのよ〜。ああお雷、あんな服着てお祭り行ってみたいわぁ」
 それに苦笑いを溢す水龍とアスタロス。おねだり口調で言われると、アドラメレクが弱いのを良く知っているのだ。
 案の定、
「なら、一緒に買い物行ってみようか。お雷ちゃんへのプレゼントに、その浴衣買ってあげるから」
 アドラメレクは雷龍と手を繋ぐと、店から出ようとした。
「あらご主人、別にお雷は買ってほしいなんて一言も言ってないから」
「いいっていいって。じゃ、ちょっとお雷ちゃん借りるから」
「待って、アドラ。私も一緒に行こう。アドラの浴衣姿も、見てみたいし」
 アスタロスもすかさず立ち上がって、アドラメレクの肩を抱く。強引な所に面食らいながらも、アドラメレクは彼女のそんな性格が好ましく思えた。
「じゃ、ロスも一緒で。また家族でご飯食べに行くから、よろしくね」
 女三人が出ていくと、水龍と火龍はやれやれといった風体で――それでも、幸せそうに見送っていった。

 そして、真夏の祭りで浴衣を着たアドラメレクに、アスタロスが御満悦になるのは、少し先の話である。

《完》

(2015年6月23日脱稿)

 
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