竜を求めし者達

□過去拍手小話
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■海で遊ぼう
〔アリーナ×クリフト〕


 クリフトの肌は白い。
 もともとから色素が薄いのは知っていたが、部屋で読書をしたり机に向かって神学の勉強をしたりで、なかなか外には出ない。
 だから、余計に日に灼けないのだ。

「姫様も、元来は色白だったではないですか」

 アリーナの呟きがクリフトに届いていたと見え、紅茶を注ぐ手は休めずにそう返された。

「私は小さい頃から外で遊ぶのが好きだったから、肌はもう焼けちゃってるもの。…そうだ! クリフトも日光浴したらいいのよ!」

 彼女の言葉に、クリフトは驚いた。

「今、サントハイムは秋ですよ。日光浴など、出来ません」

「海辺の村とかハバリアとかは、今でも夏日らしいわよ。うん、決めた!」

 なんとなく嫌な予感がする。

「クリフト! 一緒に海に行こう! あなた肌白いの気にしてたでしょ、キレイに灼いちゃえばいいのよ!」

「………え、ちょっと待って下さい。あの、もしかして…」

「そうと決まれば、水着の用意しなくちゃね! もちろん、クリフトも水着よ!!」

 水着、と聞いてクリフトの顔が赤くなる。

「ひ、姫様の水着姿!?」

 思わず鼻を抑えて、出血してないかを確かめた。そんな純情な青年を置き去りにして、アリーナは意気揚々と部屋から飛び出していく。

「あ、ちょっと姫様! 私、日に灼けたら……」

 慌てて止めようとしたクリフトだったが、時既に遅し。
 多分、自分は首に縄を付けてでも連れて行かれるだろうな…と、情けない予感が走った。


「私、日に灼けたら火傷みたいに赤くなって、すぐに皮が剥けるって云うのに…」

 体質というのは恐ろしい。アリーナの様に、既に色素沈着してしまえば問題ないのだが、クリフトの体はそういう訳にはいかないだろう。

 アリーナの可愛い水着姿を楽しみと思いながらも、二週間は続くであろうその日焼けに悩み続けるクリフトであった。


〔日焼け止め、買っていこう〕


〔完〕
 
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