long小説
□真田十勇士〜真田幸村と上月佐助〜2
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腰を上げた姉ちゃんへ、眠たそうに目をこすりながら旦那は「馳走になったでござる」と言って、俺と部屋を出た。
旦那は外の空気に触れてもまだ眠たそう。う〜ん……。やっぱりこの気配に気づいてないみたいね、旦那は。ま、当然ちゃっ当然だけど。
っていうかさ、なーんか気配に混じってチラチラ殺気っぽいの感じるんだよ。俺に、じゃないとは思うんだけどね、多分。うん、多分。
(と、なると……やっぱり……)
俺は、頭を少し横にずらして旦那を見た。ま、真田の殿様だしね。狙ってる大名は何人かいるだろうな。
さーて、どうしたもんかな。土間に着いた俺は、とりあえず旦那にわらじを履かせてから馬の鞍を整えた。
「さあ、旦那。乗っていいよ」
「すまぬな、佐助」
「いいのいいの、これが俺様の仕事なんだから。ほら、足元に気をつけてね」
「うむ」
では、道中お気をつけて。佐助、真田様に失礼のないようにね」
「オッケー。じゃあ行ってくるから、あとはよろしくね。姉ちゃん」
「佐助。姉上を一人残されて大丈夫か?」
「大丈夫だよ。これでも姉ちゃんは強いから。心配ありがとうね。さっ、行こう。旦那」