long小説
□真田十勇士〜真田幸村と上月佐助〜3
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十蔵は黄色い声ってよりは、「かわいいー!」って声に反応しまくりだけど。
横にいる俺が恥ずかしいんだけど、ま、本当に慕われてんだね。
息をフーッと吐き出して空を見上げると、陽がサンサンと輝いてる。その陽に照らされる上田城は、まあキレーだね。堅固な要塞として名高い城って噂には聴いてたけど、さて、キレーな外見とは裏腹に、どんな城なのかなあ。
少しずつ城下町の喧騒は遠ざかり、だんだんと見えてきたのは城門。屈強な兵が、かたーく閉ざされた城門を守っている。旦那の姿を見ると、一人の兵が城門に作られている小さめの戸口を開け、もう一人は駆け寄って来た。
「お帰りなさいませ、幸村様。猪狩りはいかがでございましたか?」
「ただいま。猪狩りは中々に面白かったぞ。よい土産も見つけたしな」
旦那はそう言って馬を下り、俺を見た。兵の視線も、旦那に釣られて自然と俺へ流れてくる。
「あ、初めまして。俺、上月佐助って言います」
挨拶をした俺に兵は、どうもって感じで頭を下げ、旦那の馬を連れてった。まあ、見た目から何となく性格がわかる、ぶっきらぼうな挨拶だよな。
気にせず俺は、「さあ、こっちだ」っていう旦那に、十蔵くんと六郎さんの後から着いて行く。