long小説
□真田十勇士〜真田幸村と上月佐助〜2
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「そうなんだ。甘党だね〜! 俺はかぼちゃ煮、甘味っていうか、甘いのは山で採れるアケビかなあ」
「ほう。かぼちゃ煮は甘いゆえ、飯にまぶして食べると旨いからな」
「そーそー」
「紅葉もきれいで食い物も旨い。言うことなしだな。さて、どこかに形のいい紅葉は落ちてないかのう」
「そうだねー。紅葉ならあとで探してきてあげるよ……」
俺は辺りをキョロキョロする旦那にそう言いつつ、手綱を離した。
ああ〜もう我慢の限界、俺様。ずーっとずーっと感じる気配にいい加減、ね……。 ってか、何で襲って来ないかなあ? まあ、忍者だからだろうけど。
「うん? どうしたのだ? 佐助」
「旦那、ちょーっとアブないから俺の後ろにいてね」
「なぜ、危ないのだ?」
と、キョトンとする旦那。仕方ないよね。このピリピリとした殺気まじりの気配に気づくのは、なかなか難しい。なぜなら、気配をほとんど断って来てるから。
ってか、普通の人は気配に気づかないよなあ。
「さあ、そろそろ出て来なよ。いるんだろ……? つっても素直に出てくるわけない、よね。そんなドタバタ忍者いるわけないか」
俺は挑発するように言った。