long小説
□真田十勇士〜真田幸村と上月佐助〜3
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俺は頭をぶつけないように屈んで、小さい戸口を抜けると、全体的に言えばそう大きくはないが、本丸を囲むように掘りがあり、四方に櫓がある造りとなっている。
まあ正確には、高い所から見てみないと解らないけど、敵を囲い込むようにできているようだ。攻守が同時に行えるってことかあ、なかなか合理的だね。
「いやー、すごい眺めだね。旦那」
「そうであろう! ここから南に行くと千曲川があってな、その前は断崖絶壁となっておる。自然の地形を利用した堅守、というわけだ」
「夏にはね、千曲川でみんなと遊ぶんだよー!」
「そーなんだ。楽しそうじゃん。遊ぶ時は、俺も入れてくれよ」
「うんっ!」
目一杯の笑顔を浮かべ、ぴょんぴょんと跳ねながら言う十蔵に、俺も笑顔で答えた。
「十蔵は元気だな。佐助、城内は好きに散策してよい故、また時間のある時に見ておいてくれ」
旦那がそう言ったところで、どこからともなく現れたのは双子? って思うくらいに六郎さんにそっくりな人(髪は左分け)と、体つきともに、旦那の顔に似てる人が、俺たちの前に立っていた。
「出迎えが遅れまして申し訳ありません」