long小説

□真田十勇士〜真田幸村と上月佐助〜4
2ページ/8ページ




***



 慣れない枕のせいか、朝早く目が覚めた俺は、顔を洗って本丸の屋根に上がり鯱にもたれていた。ちょっと俺様、神経質かもね。
 あー、でもやっぱり気持ちいいなあ、高いところは。日の出もカクベツだったし。それにここからは、上田城全域がよく見える。これなら見て周らずにすむな。昼飯を食べたら、断崖絶壁があるという千曲川でも行ってみるか。南の方だったよな。そんなことを巡らしていたら、下の方から剣を交わす音が聴こえてきた。
 よっこらしょっと立ち上がり、本丸の屋根スレスレまで歩いて行って見下ろすと、宙に舞う、あの高く結い上げられた髪が視界に入る。六郎さんと七郎さんが二人、剣を交わしていた。 朝から鍛練かあ、すごいね。
 十蔵くんの姿は、まだ見えないって、当たり前か。子供はまだ寝てる時間だよな。 っていうか、六郎さんと七郎さんてパッと見た感じでは、ほんとキレーな顔してる。最初見たときはマジで女だと思ったからなあ、とか考えてたら、六郎さんと七郎さんが手を止めて、しばし俺を一瞥し、またすぐに鍛練を始めた。俺が何を考えてるかバレたのか?……あの、やっぱりコワイです。はい……。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ