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□真田十勇士〜真田幸村と上月佐助〜二話(作成中)
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 それから数刻後。草木も眠る丑三つ時って言い回しはちょっと古いかもしれないけど、俺はとにかく眠れずにいた。今日から任務だし、ちょっと緊張してるかな。
 んでもって、苦肉の策として手元に持って来たのは、昨日帰ってった姉ちゃんが「よいですか? 佐助。くれぐれも、くれぐれも、真田様には失礼のないようにするのですよ」と耳タコな言葉とともに俺へ残していった、ぶあつーいお手紙。(姉ちゃんに割り当てられた客間へ案内した途端、押し付け……いや、渡してきた)ぶあつーい見た目に比例して、中身はながーい文章。 どこかの武将? でいたよね。長い手紙を書くお方……。まあ、さすがに眠らないと明日にヒビくと思って、眠くなるのを期待して読みはじめたんだけど、パラパラと目を通してすぐに読むのを止めた。だってすっげえ長いんだもん。


「……」


 手紙を枕元に置いて、俺はあぐらをかいていた体勢からゴロンとうつ伏せになった。耳へと聴こえるのは虫の声だけ。……任務、か。久しぶりだな。俺は昔の仕事を頭のすみで思い出しながら目を閉じた。




「えーと……」


 俺は昨日作っておいた携帯食の黒ゴマ団子を棚から取り出した。あ〜結局、数刻しか眠れなかったな。明るみが出てきたとはいえ、まだ薄暗い外を見ながら俺はアクビを噛み殺した。


「それと……兵糧丸、飢渇丸に水渇丸……干し飯っと」


 いつも持っていく、お馴染みの物をまとめて袋に入れ、俺は部屋に戻った。


(……さてと、忍具のチェックはもう終わってるし、今からどうしようかなあ)
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