long小説
□バイオハザード
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店員から紙袋を受け取った私は、帰ったら昼食の準備だ。私は孤児院へと急いだ。
「待たせたかしら?」
「いや」
女の問いに男は静かに答えた。
「ファイルは読んだわ」
「そうか」
「で、報酬の上限額は?」
「六十」
「八十よ。それで駄目なら他を当たって」
カフェのテーブルを人差し指でコツコツと叩いて、女は言った。
「わかった」
「そう。それなら契約成立ね。仕事が終わったらメイルするから、それに書かれた口座に振り込んで」
「ああ」
男は頷き、帽子を目深に被り、席を立つ。
「それじゃ」
「気をつけてな、スカーレット」
「ありがとう。あなたもね」
笑みを浮かべて女は言った。
最初はただの思いつきだった。
こうしてみれば、いいのではないかと……。
けれど、まさかその行動が新たなものを生み出すとは、正直思わなかった。どちらにしても私は新たな発見をした。これはすべて私のものだ。
今思えば、こうしてみればいいと思ったのは、自分がかつてしたかったことかもしれない。心の奥底から望んでおきながら目を逸らしていたこと。けれど、本当は憧れていたこと……。