寝室【教授との夢】
□Luggage
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★ Luggage ★
「よいしょ…っと」
ホグワーツ魔法学校の薄暗い地下教室のそのまた奥。
ここは魔法薬学のセブルス・スネイプ先生の私室。
私は分厚い木製の扉をトントンと叩く。
私はヒナ・アメミヤ、グリフィンドール生。
日本からこの学校に入って魔法を習っている。
今はこの教室の奥の部屋に居る先生に用事があって来たの。
「先生!」
『誰だ?こんな夜に!』
「アメミヤです…わわっ」
『…入りたまえ』
ガチャっと鍵が開いた音がしてドアが開く。
部屋の奥で先生が視線を机に落としたまま杖を上げている。
私が入ると杖を一振りして、扉は閉まって鍵が掛かった。
「ふうふう…よいしょっ!」
大きなダンボールの箱をソファの前にあるテーブルにドサリと置く。
その音で先生が顔を上げた。
『ヒナ、その箱は何だ?』
「あ、これは今度の休暇は日本に帰れないと言ったら母親が色々送ってくれたんです」
『そうか。しかし帰らなくて良いのか?』
「はい。日本に帰るのは大変なので今回は…」
『親にはきちんと元気な顔を見せねば』
「次の休暇にはちゃんと帰ります。…あとセブルスと一緒に居たいっていうのもあったから…///」
『……うむ…そうか…///』
私とスネイプ先生は恋人同士。
私がずっと前から好きで、毎日毎日先生のところに通ってやぁっと仲良くなれた。
始めは嫌がられてたけど、後で聞いたら私の押しに負けたと言った。
それを聞いてちょっとがっかりしたけど、
今は先生とこうやっていられるのは嬉しいからまぁ良いか♪
「さっき届いたばっかりだからセブルスと一緒に見ようかなと思って持ってきたの」
『では仕事をすぐ片付けねばな…』
「ゆっくりで良いですよ、私が急に押しかけたんですし…本を読んで待ってます」
『…そうか、悪いな』
口端が優しく微笑むのを見て、本棚から本を取り、ソファに腰掛ける。
先生は生徒を厳しく叱るし、すぐ減点したりするので皆に嫌がられてるけど
私だけにはこうして優しい笑顔をくれる。
まぁ、この笑顔を貰えるまで、もの凄い時間が掛かったけれど……。
先生が厳しく叱るのは危険な薬品を扱う為、生徒が怪我をしないようきちんと管理しないといけないからだし、
減点すれば真面目に取り組むだろうと考えての事なんだろうな…。
そんな事を考えながら、本を読むフリをして先生の顔を眺める。
眉間に皺を寄せて羊皮紙に向かっている。
「本当は不器用なだけなんですよね?」
『ん…何か言ったかねヒナ?』
「いえっ!何でもありません!///」