客間【アランさん他…の夢】

□desire to monopolize
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ねえ……。



私に嘘はつかないでおくれよ?



嘘を付いたって分かるんだ…。



今の私は耳も鼻も良く利くんだから…ね?






★ desire to monopolize ★






『さあ、早く飲め。我輩もまだ仕事が残っている』

「ああ…ありがとうセブルス……うっ…何度飲んでも慣れないな」

『…ふん…ではお好きなチョコレートでも入れては如何かな?』

「チョコをこれに?!…うぷ…勘弁してくれよ…」


薬を飲み終えるとセブルスはゴブレットを引っ手繰る様に奪い


『今日明日の夜は大人しくしていることだ…また明日持ってくる』


踵を返して部屋から出て行った。

満月が近づいてくる度、この薬を飲まなければ私は人狼になってしまう。

脱狼薬はセブルスが作ってくれる。

これを飲めば人狼には変身さえしないものの、体はだるく神経も過敏になる。



…そして今は酷くイライラしている。



今日の昼間の闇の防衛術の授業は、二人一組で取り組む内容だった。

ハリーはヒナと組んでいた。




グリフィンドール生のヒナは日本からの留学生。

ダークブラウンの綺麗な髪にクリクリとした大きな目、色白で小さくて

笑うと小さな笑窪が出来て…まるで花が咲いたように可愛らしい。

私はヒナが好きだ。此処に赴任して初めて授業をした日から。

暫くしてからヒナには毎日授業の準備、片付けを手伝わせるようにした。

これはヒナと一緒に居る為の口実。

誰にもヒナを渡したくない。

近寄って欲しくない。

強烈な独占欲。

それは人間としての本能なのか…私が人狼故の感情なのか…。




『ねえハリー、あなた守護霊が出せるのでしょう?』

『あ…あぁ…まだハッキリとは出せないけどね。ルーピン先生に特訓して貰ってるんだ』

『良いなあ…私の守護霊ってどんなんだろう…見てみたいな』

『ヒナの守護霊だったら絶対可愛いよ!小鳥かな…ウサギかも!』

『え?そうかなぁ』

『うん!ヒナは小さくってとっても可愛いからさ』

『もうハリーってば…!』


実習の順番待ちの暇な時間、教室の隅で二人がコソコソと話しているのを聞き逃さなかった。

ハリー…魔法の才能があり、勇気もある。少し規則を無視する傾向にあるがそこは父親に似たのか?

良い生徒だが、ヒナに近付くのだけはいただけない。

しかしそのハリーの言葉に頬を染めるヒナも許せないな…。

私の前ではあんな素敵な笑顔は見せないのに…。

私の方がヒナを大切に想ってるのに…。



腹の奥で黒い何かが渦巻いた。



授業が終わった後、ヒナは一人教室に残り日課の片付けをしている。

世話しなくクルクルと教室を走り回るヒナを見るのは、

いつもなら幸せに感じるのに今日はそうは思えなくなっていた。


そんなに急いで片付けて…早く寮に戻りたいのかい?


そして談話室でまたハリーと楽しげに話でもするのかい?


ねえヒナ……君は誰が好きなの?


ハリー…?それとも他の誰か…?




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