客間【アランさん他…の夢】
□Let's study
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★ Let's study ★
暗い廊下を音を立てないように靴を脱いで手に持って歩く。
暗がりに少しだけ慣れてきた目を頼りに双子から教えて貰った場所へ向かう。
ヒナはお腹が減って減って減って減って、どうしようもなく減っていた。
自分の買い置きのハニーデュークスのお菓子も無くなってしまい、
今大広間の丁度真下の地下廊下をコソコソとしている。
双子に教えて貰った厨房の入り方を試す。
「ええと…確かこの果物の額縁だったよね…」
額縁の中には器に沢山の果物が盛ってある絵が描いてある。
「この果物の…あれ?どれだっけ?忘れちゃったよー!」
りんご?梨?バナナ?
しかも廊下が暗くて果物の判別が付かない。
ヒナはどれを擽るのかすっかり忘れてしまっていた……。
「あれー??これかな?違う…コレ?違う!」
片っ端から擽っているのに一行に開かない。
お腹はグーグー鳴るし額縁は開かないしでイライラする。
後ろにミセス・ノリスが居るのにも気付かずに……。
『見つけたぞ!現行犯だ!!』
「Σひゃっ!」
ヒナは驚いて腰を抜かす。
あわあわと振り向くとミセス・ノリスの後ろに腕を組んで仁王立ちしているフィルチ。
『チビちゃん、よくやったな…』
「フィ…フィルチさん…」
『お前は…グリフィンドールのヒナ・アメミヤか?』
顔を見られてしまったからもう逃げられない。
「は…はい……」
ヒナは項垂れて溜息をつく。
『今夜一晩懲罰だな…まずはマクゴナガルの所へ行くぞ。ほら立て!』
「あ…あの…立てませんフィルチさん」
『何?』
「さっき驚いた拍子に腰が抜けちゃったみたいで…」
『………』
フィルチは頭をバリバリ掻くと、もう片方の手をズボンに擦りヒナの目の前に広げて出した。
『ほら!』
「…え?…手?」
『…だから…掴まれと言っている』
「えっあっはい…」
フィルチの手を掴みゆっくり立ち上がる。
『歩けるのか?』
「…うう…ちょっと辛いかも…です」
『チッ……』
舌打ちするとヒナの腕を取り腰を抱えて歩く。
『私の部屋が近いからとりあえずそこで待ってろ…マクゴナガルの所へは私一人で行ってくる』
「はい。すみません」
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