寝室【教授との夢】

□Jealousy…and
2ページ/8ページ



『ヒナ〜!早くこっちこっち!今日は…あ!ヒナの好きな卵焼きが置いてあるわよ!』


Ms,グレンジャーが大きな声でヒナを呼ぶ。


『へぇ〜僕たちのはスクランブルエッグなのにね!』とウィーズリー。

『ヒナ!早く食べよう!』ポッターもいる。


大広間で食べる食事は人が席に着くと魔法でポンと出てくるのだが、

ちょっぴり日本贔屓なダンブルドア校長の粋な計らいで

日本人のヒナには時々こうやって特別に、同じ材料で日本食として出される事がある。

ヒナは手を合わせると、卵焼きの一つを一口で頬張り、

もぐもぐと幸せそうに咀嚼する。


『…うん、美味しい!』と笑顔をこぼす。


そんなヒナを教師席からスネイプは眺める。これが新しい我輩の日課だ。



ヒナは食事の前に必ず手を合わせ日本語で「いただきます」と言う。

この上品で美しい作法が、スネイプはとても好きになった。

そして物を食べる時は本当に美味しそうに、幸せそうに食べる。

そんなヒナの顔がとても愛らしいと思う。

スネイプの表情も自然と柔らかい物になる。



『おや?セブルス、今日は機嫌が良いみたいじゃの』


何時の間にかダンブルドア校長が隣にいる。


「Σはっ…校長…いや、何時も通りですが?」

『そうかの?フォッフォッフォ…』


スネイプは咳払いをしてゴブレットに入ったオレンジジュースをぐいと飲み干す。

(…我輩としたことが顔に出ていたか…校長などに知れたらそれこそ危険だな…色々と)

思いながらスネイプはまたヒナを見る。

もぐもぐと美味しそうに食べながらヒナもこちらを見てニコニコしている。

スネイプは嬉しくなり、口の端でにこりと笑う。




ついこの間、我輩とヒナは〈恋人同士〉になった。

恋人と言っても、お互いの想いを伝え合い、一度、抱き合ってキスしただけだが。

あの甘い、熱い出来事を思い出す度、スネイプの躰はきゅぅと疼く。

親子程も年が離れたヒナを本気で好きだと思うのは端から見れば絶対におかしいのだろうが

実際にあの子の顔を見るとそんな気は失せる。

ヒナは素敵な女性だ。あんな綺麗に輝く女性が我輩の恋人だなんて…

このフワフワとした心地のよい浮遊感が〈恋する気持ち〉だと、もうずっと忘れていた。

普段こういう事はあまり考えないようにしたいのだが、

授業中や食事の時間等、ヒナの顔を見るとつい頭の中に〈あの日の事〉が浮かびドキリとしてしまう。

そうなると一瞬思考が停止し、呆けてしまう事が度々出てくるようになってきた。



『…ス?…セブルス?』

「…っ!はい?何ですかな校長」

『さっきからスクランブルエッグを更にかき混ぜておるからのぉ?』

『目も虚ろじゃったし、わしは少し心配じゃよセブルス』

「あ!あぁ…///いや何でもありませんよ校長」


頭の中の妄想を掻き消して食事を早々に済ませ足早に大広間から出る。

出る時ちらとグリフィンドール生の席を見るとヒナが微笑みをくれた。

(もう一つ我侭を言えば、あのポッターとウィーズリーが邪魔なのだがな…)

と、小さな嫉妬心が湧いて出たが、

(ん…いかんな。アレでも一応ヒナの友達だったな…)


「今日も良い一日になりそうだ…」


スネイプは小さく呟いた。










次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ