ソウシ
□君に捧ぐは僕の初恋
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誰かを愛する資格なんて、ないと思ってた。
誰かに愛されるなんて、夢にも思わなかった。
家族を
故郷の人々を
死に追いやった。
死ぬ事さえ、許されないと思っていた。
君に出逢うまで…
誰にでも見せるこの笑顔も
誰にでも優しくするこんな性格も
好かれるため。
嫌われないため。
自分のため――――――
これ以上誰かを失うなら、自分の命を絶とう。
それが最善策だと思っていた。
それなのに…
それなのに君は、俺の心に簡単に入ってきた…
いつからかと考えるのも滑稽に思える。
こんなにも歳の離れた女の子に、教えられるなんて…
『もし、ソウシさんが死んじゃったら、私はどうすればいいんですか!自分が助かっても、ソウシさんが死んじゃったら…私…』
真っ赤に泣き腫らした目でそう言われ、初めて愛おしいと思う気持ちが芽生えた。
この子のために…生きよう。
この子と、未来を築こう。
この腕で守り、この足で、共に歩こう。
自分を責めるのはもうやめよう。
過去に蓋をした笑顔の仮面は、もういらない。
自分を息苦しくするだけの、視界を覆う笑顔の仮面はもう捨てた。
君に愛を誓ったこの口から呼吸をして。
愛おしい君をこの目で見て。
君との隔たりは、なにもない。
いきなり自由になった呼吸に、明るくなった世界に最初は戸惑うだろう。
そんな時は、立ち止まればいい。
酸素が肺に入るまで。
光りに目がなれるまで。
君と歩き、君と立ち止まり、共に共に生きよう。
隣にいる君と。
End.