long dream
□君に届け 1
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ひらひらと舞う桜が、私の視界を遮る。
お陰で目の前はピンク色だ。
誰かにぶつからないか心配になりながら通学路を歩く、4月。
今日は高校の入学式だ。
桜のせいでふらふらと歩きながらも、私は幸せな気分だった。
『友達・・・出来るといいなっ』
そんなことを呟きつつ、スキップして学校へ向かった。
その時。
ドンッ
『うわっ』
「おっと」
入学式早々やらかしたなあ、我ながら可愛くない悲鳴だ、などと思いながら身を投げ出される。
しかし、地面に着くはずの尻は、何者かの手によって免れた。
「大丈夫か?」
『あ、えっと・・・』
言葉が出ない。
瞬きを繰り返し、口をぱくぱくしている私の頭に、どうやら男性である彼は手を置き、
「ははっ、大丈夫そうやな。ほな」
軽く撫で、そのまま去っていった。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響く。
・・・。
『遅刻するーっ!』