novel
□お姫様のデレ期
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最近、俺には悩み事ができた。
その悩み事とは―――
「アルヴィンっ♪」
「アルヴィン君〜!」
ばふっ
突然、向こうから勢いよくこちらに走ってきた小さな少女と不思議なぬいぐるみに抱きつかれた。
エリーゼと彼女の友達、ティポだ。
そう、俺の悩み事というのはこのこと。
「どうした?お姫様」
「えっと、アルヴィンにくっつきたくなった……です」
「ボクもー!」
彼女は最近やたらと俺に構ってくる。
デレ期というやつか。
ちょっと前までは、俺に対してのみツンツンだったから、こうやたらとデレられると正直困る。
いや、嬉しいんだが、なんか慣れない。
・・・
「アルヴィン?」
「え!?あ、ああ悪ぃ」
「アルヴィン、ちょっと耳貸してください」
「ん?こうか?」
彼女は俺の耳元に両手を持ってきて、小さな小さな声で囁く。
「『すき』…です」
「!?」
「す・き…です(にっこり)」
ぎゅっ
エリーゼがそう言うと、また抱き付いてきた。
「ッ/////ちょ、エリーゼ急にどうした!?」
「ジュードもミラも、レイアやローエン、ドロッセルも、みんな大好きです♪」
なんだよ…そういうことかよ…。
てかなんで俺こんな期待しちゃってたの!?
相手は旅の仲間であって、ましてや12歳のあどけない少女。
俺は26歳。歳の差は14。
おい…おい。
これってもしかして、世に言うロリコンってやつか?
いやいや、俺は断じてロリコンなんかではない。 でもエリーゼは…可愛い。可愛すぎる。
もっと触れたい、抱きしめてやりたい、キスしたい。
って、ロリコンじゃねーかよ!
自ら自分にお得意のツッコミを入れる。
でも、やっぱり俺はエリーゼが…
「アル…ヴィン?さっきから真剣な顔で…どうしたんですか?」
「話聞けよバホー!」
・・・!?
「あ、悪ぃ」
やべ、完全にエリーゼを無視して我を失ってた。
「アルヴィン、さっきの話の続き…」
「ん?」
「わたしは、友達のみんなが大好きです」
「…さっきも聞いた」
「もちろんアルヴィンも大好きです」
「…ああ」
「でも、アルヴィンへの『すき』はちょっと違うんです…」
「?」
「自分でも…よく分からなくて…他のみんなとは違う『すき』なんです。でも、だからさっき、アルヴィンにくっつきたくなったんだと思います…」
「エリーゼ…」
「この気持ちって…なんなんでしょうか…」
適わねぇ…。
ぎゅうっ!!!
俺は彼女を抱きしめた。
「ア、アルヴィン!?」
「本当、エリーゼには適わねぇ…」
「…」
「好き…だ(ボソッ)」
「?」
「愛してるよ…お姫様」
「!?///// う、嬉しい…です…//わた、わたしもアルヴィンが…///あ、あい…」
エリーゼは頬を真っ赤に染めて、動揺を隠せないようだった。
「なぁ、まだお姫様の返事聞いてないんだけど?」
「えっ!?何のこと…ですか?」
「愛してる」
「むぅ…///」
「ほらほら」
「わ、わたしは…//アルヴィンが…///」
「俺が?(ニヤニヤ)」
「大…」
「大?」
「大ッキライです!//」
ピュー!
エリーゼはその場から逃げるように走り去った。
「待って!エリー!!」
ティポもエリーゼを追いかけて走り去った。
…ちょっといじめすぎたかな(苦笑)
その日からエリーゼ姫のデレ期は終了し、今まで以上にアルヴィンに対して冷たくなったとかならないとか…。
-------------End-------------
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