長編本

□少女Aの人生録
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父は学校の教職員。母は専業主婦のいたって平凡な家に生まれた

上流家庭までとはいかずともそれなりに裕福な家だと思う。

マンションや団地ではなく二階建ての一軒家に住んでるのだから


そして私は看護学校を卒業した後は1LDKのマンションで一人暮らしを始め、看護師として働いている。

看護師は夜勤もあるため規則的な生活は遅れないが遣り甲斐もあり、日々不満もなく過ごしている


食生活は乱れないよう心がけ、できるだけ毎日3食食べるようにしている。


自分で言うのもなんだが私は結構いい生活を送っていると思う。

仕事もたまにミスをしてしまうくらいで、そのミスが原因で取り返しのつかないことになったことはないし、勿論犯罪を犯したこともない。




何も悪いことはしてないはずだ。

はずなのに、これはいったい何の仕打ちですか?





※※※※※





「うぅ・・・」


カーテン越しに入ってくる太陽光が憎いくらいにまぶしい。

今日は四日ぶりにとれた久しぶりの休みで、ゆっくりとできる。


しかし布団の中でゴロゴロしすぎると今まで溜めてしまっていた洗濯などが余計に溜まってしまうので早めに起きなければ・・・

布団から出ると少し肌寒く、もう一回布団に戻ってしまいたくなった。

頑張って布団から這い出て、顔を洗いに洗面台に行く途中で違和感を感じた。



「・・・なんか服大きい?」



服が少しダボダボしている。

サイズはちゃんとあってるものを買っているのでこのようなことはありえないはずなのに・・・

しかも袖や裾が余っているのである


もしかして身長縮んだ?


これはおかしいぞ、と思ったとこでまた一つの違和感。


なんか髪が伸びてる気がする。私も数センチだけじゃ気づかないが、何十センチと伸びているのだ。

これはおかしい。私は肩につくかつかないくらいのショートなのに

カツラでも被っているのかと思い引っ張ってみるが私の頭皮が傷んだだけだった・・・


変わっているのは私の髪と服、身長だけで、部屋自体は何も変わっていない。

家具は私が気に入って買ったものだし、ソファの上にはお気に入りの羊の人形がちゃんと鎮座している。


取り敢えず寝起きの頭をはっきりさせようと顔を洗いに洗面台へと行くと鏡を見て間抜け面をさらすことになった



「え、・・・なんか幼い」



顔が若返っていたのだ。

肌なんかつやつやしている。もち肌だ。

これは喜ぶべきなんだろうが私には違和感しか感じない

化粧してるし、一昨日は夜勤明けでたいしてお手入れしてないのになぜ?


いったん顔を洗い部屋に戻ると部屋に置かれている本棚に高校の教科書が入っていた

一冊だけではなく全種類揃っている。



「・・・なぜ?高校時代のは捨てたはずなんだけど」



そう。そうなのだ。私は高校時代、ていうか中学校時代のも看護学校を卒業した後捨てたはずなんだ。

なんでここにあるのかと不思議に思っていると、隅のほうに茶封筒を見つけた。

その茶封筒には学校関係の書類が入っており、学校名が”帝丹高等学校”と書かれていた



「ていたん・・・帝丹高等学校!?」



中を見ると書類には住所が書かれており、住所には”米花町”の文字が・・・

ご丁寧に入学証明書なるものも入っていた



「これって、あれだよね」



見た目は子供、頭脳は大人!

な国民的漫画の地名だよね


混乱を起こしながら部屋の中の捜索を続けるとクローゼットの中に見慣れない制服を見つけてしまった

言わずもがな帝丹高の制服だ。

私はオタクだがコスプレスキーではない。

制服を放置して捜索を続けると今度は引出しの中に高校の入学式関係の紙を発見した。


どうやら五日後に入学式があるらしい。カレンダーの日付と書類の日付が一致してしまった



「え、なにこれ。もう一回高校に行けと。ドッキリとかじゃないの?」



どうしよう。頭がパンクしてしまいそう。

これってもうあれだよね。理解はしているが受け入れがたい事実。

幼くなったわけじゃないが確実に若返った私の体。

そして、教科書、制服、書類。


真実はいつも一つ!


お父さん、お母さん。どうやら私・・・トリップ、したみたいです。


相良薫24歳、摩訶不思議な現象に巻き込まれたみたいです





(え、本当にドッキリじゃないの?)(プラカード出てこないの?)





転機は突然に
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