◇学園ヘヴン。

□君の好きなトコロ。
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「丹羽!!早くしろ!!」



―――夜も更けた頃の学生会室。
俺・丹羽哲也はこの学園の副会長で恋人でもある中島英明に怒鳴られていた。

「わぁってるって!!そう急かすなよ!!」
「だまれ丹羽!文句をいっている暇があるのなら手を動かせ!!」

解ってる。
俺が学生会の業務をサボったから締め切り直前のこの時になって忙しくなったのは解ってるんだ。
けど,なぁ・・・・・
ヒデの奴,もうちょっと優しく言うってコトできねぇのかぁ??
仮にも・・・っつーか俺はヒデのれっきとした恋人なんだぜ??
なのにさぁ・・・・

「はぁ〜〜〜もうちっと優しくしてくれたってなぁ・・・・・」

そんなコトを考えてると,思わず溜息と思ってるコトがつい口にがでちまった。
すると・・・・

「ほぅ。丹羽。俺が怒っているのは誰のせいだと思っているんだ?」
「い,いや・・・今のは・・・」
「業務をサボった誰かと違って真面目に書類の処理などをしていた俺がこんな遅い時間になってまでこの学生会室に篭らなければならないのは何故だろうなぁ? なぁ?丹羽学生会会長?」

ヒデお得意の言葉攻めが始まっちまった!!
こうなったヒデに,俺は1度も勝てたコトがない。
俺も結構クチは達者な方だが(少なくとも自分ではそう思う)ヒデはもう達者なんてレベルじゃねェ。
それこそコイツは言葉攻めのプロフェッショナルだ。

「大体丹羽学生会会長。お前は前に似たような事があった時,俺になんと言った?『今後こういった事は二度と無い様にする』そう言ったんだぞ?前回だけならず,その前も,その前も,その前も!!まさか忘れた訳ではあるまい。それを毎回毎回・・・・何度破れば気が済むんだ。」
「だから・・・それは・・・」
「聞け!丹羽!!」
「っ・・・・」
「そもそも・・・・」

コンコン

俺が次に来るヒデの言葉に身構えた瞬間,学生会室の扉をノックする音がした。

「おっ?」
「チッ・・・・」

神様から救いの手が!!
俺はそう思って急いで扉を開けた。
そこには・・・・

「あの・・・失礼します。」

俺を地獄から救い出してくれる天使・・・もとい伊藤啓太が立っていた。

「おぅ。啓太か。」
「はい。・・・・まだ,忙しそうですね・・・。」
「あぁ。まぁな。それで,どうしたんだ?もう結構遅い時間だぞ?」
「あ・・・はい。実は・・・」



どうやら啓太は晩メシ返上で仕事をしてる俺達を心配して弁当を作ってきてくれたらしい。
啓太が拡げた風呂敷の中からいい匂いが漂ってくる。

「おぉ〜〜!! スゲェじゃねェか啓太!!」
「えっと・・・篠宮さんに手伝ってもらっちゃったんですケド・・・・」
「そうか〜。篠宮も手伝ってくれたんだな?
 なんにせよメチャクチャ嬉しいぜ!!啓太!!」
「そ,そういって貰えると俺も嬉しいです。」

俺は啓太の持ってきてくれた弁当に歓声をあげつつ,ふと思いついた。

なんで俺はヒデと付き合うコトにしたんだろう・・・・?

いや,もちろんヒデのコトは好きなんだが,どっちかっつーと俺はこう柔らかくて,腕のなかにすっぽり納まるような可愛い・・・・例えるなら・・・そう。
啓太みたいなヤツがタイプなんだ。
今だって俺が礼をいったら恥ずかしそうに笑ってるし,素直だし,優しいし・・・・

「王様?」
「んっ?!」
「あの,王様・・・どうかしたんですか?俺の顔見たと思ったら,急に固まっちゃって・・・」
「あ,イヤ,なんでもナイぞ!!」
「そうですか??」
「マジでなんともネェって!!それよりコレ,食っていいか?俺,ハラ減っちまってよぉ。」
「ぁ・・・は,はい!!勿論どうぞ!!」

少し首を傾げてた啓太だったが,俺が弁当のコトに話題をかえるとまたニコッと笑って喋りだした。

(やっぱこういうトコも可愛いよなぁ・・・・)

「あの,中嶋さんも・・・・お口に合うか判んないんですけど・・・」
「口に合わねェ事なんかねぇよ!!メチャクチャ旨いぞ?コレ。おいヒデ!!お前もこっちこいよ。」
「・・・・・・・・あぁ」
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