◇銀魂。

□メガネ。
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「新八ィィィィ!!!」
「え?」

ガシャァァァン

「わわッ」


カシャン


「「「ぁ・・・・・」」」




【メガネ。】


よく晴れた日。
万事屋の面々はいつも通りに過ごしていた。

が。

アクシデントは急に起こった。

「あ〜あ・・・どォすんだよ,コレ。」

・・・・新八の眼鏡が割れたのだ。

そもそも何故こういう事になったのかと言うと,それは数分前に遡る。
定春と散歩に行っていた神楽が帰ってきたのだ。
お腹が空いた神楽は万事屋に入るなり新八に飛びついた。
普通の女子なら問題はなかったのであろうが,いかんせん神楽は戦闘種族・夜兎である。
新八を突き飛ばしてしまった。
その衝撃で,眼鏡が割れたのだ。


「どうしましょう・・・・僕,眼鏡の変えなんて持ってないですよ・・・・」

新八から不安そうな声があがる。

「大丈夫ネ。視力なんざ根性でどうにかなるアル。」
「イャイャならないから!!根性でどうにかなったら僕今眼鏡なんかしてないから!!」
「そうだぞ神楽ァ。こいつは根性の無い駄メガネなんだからなァ」
「駄メガネ?!ンだとォ!!!!
 っていうか根性で視力は直せません!!アンタ何いってんですか!!」
「ウルサイアル駄メガネ。」
「また駄メガネ?!つーか今この惨劇を作ったのは君でしょ神楽ちゃん!!もっと反省とかできないの?!」
「したアルよ。」
「イヤ,してないから!!どう見たってしてないから!!」
「あ〜も〜うっせーなぁ。いい加減にしろやガキども。」

そう言うと銀時はヒョイと新八を抱え上げた。

「エッ?!」

そしてスタスタと歩きソファに座らせるとジッと顔を覗き込んで言った。

「んで?お前眼鏡なしでどんくらい見えるワケ?」
「「あ」」

そう。
今1番すべきコトは新八の眼鏡をどうするかである。
すっかり忘れていた新八と神楽は二人して顔を見合わせた。


「で。どんくらい?俺の顔,見える?」
「えっと・・・・ぼんやり・・・見えます。」
「マジでか!!こんな近くにいるのに?!」
「ハイ。どうやら結構悪くなったみたいですね。」
「みたいですね・・・ってお前なァ・・・・」

呆れた声で銀時は新八に目をやった。
眼鏡が無いので落ち着かないのか,新八はしきりに瞬きをくりかえしている。

「でも,生活には支障ないと思いますよ?ぼんやりですケド,大体の場所ならわかるし。」

そう言って新八は立ち上がって歩き始めた。
だが・・・・


ドンッ

ガンッ

ボスッ


至る所にぶつかっていた。

「新八ィ・・・お前支障ありまくりじゃねェか。」

見ていられなくなった銀時が新八の手を掴んで傍に引き寄せる。
急に引っ張られたコトによってバランスを失った新八は銀時の胸に倒れこむ。

「いいから座ってろ。お前は動くな。」
「え・・・だって晩御飯の用意もしなきゃ・・・」
「ダメ!!キケン!!!!」

銀時は焦って叫んだ。
歩くだけでも危なっかしいというのにこの上包丁などもたせたら危険すぎる。
それこそ指の1本や2本,失ってしまうかもしれないのだ。
愛しい恋人の指が無くなる等,考えられない。

「それじゃ晩御飯は一体どうするんですか?」

僕以外,家事をする人なんていないじゃないですか,と新八は目で訴える。
目が悪いので,銀時の顎らへんに向けてだが。

「あ〜・・・俺が作る。」
「え?!」
「これでもお前が来るまでは自炊してたんだ。なんとかなる。」
「嘘ッ!!アンタに包丁持たせたりしたらどんな恐ろしいコトになるか判らないじゃナイっすか!!」
「それはこっちのセリフだァァァァ!!!!」
「ナニ言ってんですか!!アンタ僕が来てから1回も料理なんてしてないくせに!!」
「いいんです〜俺には新ちゃんっていう可愛い幼妻がいるからいいんです〜」
「なッ!!」

不毛な言い争い(痴話喧嘩ともいう)が続く。
新八が銀時の胸に寄りかかっているので抱擁を交わしているように見える二人を蔑んだ瞳で見つめ,神楽が吐き捨てるように言った。

「やってらんねェよホモどもが。」

そしてガラガラと玄関の戸を開けて定春と共に出て行った。
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