◇じゃんぷ系。
□溶かす。
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ザア・・・ザア・・・
雨が降る。
冷たい,針のような雨が,自分を濡らしてゆく。
こうしてまた俺の記憶は廻る。
あの戦い(攘夷戦争)のコトを・・・・・。
ーーー求めたモノはわずかな安息ーーーー
ーーーーー手に入れたモノは,多くの絶望と,やりきれない焦燥感ーーーーーーーー
共に戦った者の多くは息絶え,武士の誇りも,大切な仲間も,すべて失った。
それが,情けなくて。
どうしても・・・・やりきれなくて。
だから俺は・・・・反乱分子の1人となった。
この世から攘夷志士がいなくなったとしても,自分だけは死ぬまで攘夷志士でいる。
それが,死んでいった仲間達へできるたった一つのコトだと,思っているから。
・・・・・・否。
そう“思っていた”。
アイツに再び出会うまではーーーーー。
白夜叉。
そう呼ばれた男は今,過去の戦いなどまったく感じさせない瞳で俺に言った。
『・・・桂ァ,もうしまいにしよーや。』
そんなコトを考えながら,俺の頭の中はまた・・・・廻る。
ザアザアと降りしきる雨に打たれながら,このまま消えてしまえばいいと思う。
いっそこのまま誰にも知られることなく,この雨に融けてしまえれば・・・・。