◇じゃんぷ系。
□暖かい手。*製作中です
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「スース,ゴメンさ。俺っち達を守るために・・・・。ごめんさ・・・・。」
・・・・夜も遅く更けた頃。
西岐城の一室に,2つの影があった。
1つは熱に侵され,寝具で眠っている太公望。
そしてもう1つはその太公望の横に立ち,辛そうな顔で寝顔を見つめている黄天化。
先日の聞仲との戦いで皆を守るため宝具を使いすぎ倒れたまま,太公望は昏々と眠り続けていた。
「・・・スース・・・・。」
汗で張り付いてしまった太公望の前髪を掻き揚げながら天化はポツリと呟く。
「ゴメンさ・・・。スース,ゴメン・・・。ゴメンさ・・・・。」
自分達が倒れた後,太公望は1人で聞仲の攻撃から守ってくれたのだ。
それ故に太公望は自分達よりも倍以上の疲労に侵されてしまった。
そして今も眠り続けている。
そんな太公望を見ていると居たたまれなくなり,皆が寝静まった頃,天化は毎晩太公望の部屋に通っていたのだ。
「んっ・・・つぅ・・・・」
「スースッ?!」
太公望が苦しげに呻いた。
「ぅうっ・・・っは・・・ぁ・・・」
「スース,どうしたさ?スースッ!!」
うまく息が出来ないのか,浅くゼーゼーとした苦しそうな呼吸を繰り返している。
「っひゅっ・・・ぅあ・・・くぅ・・・」
「スース!?スース,熱がっ・・・・!!」
急激に熱が上がっていく。
「スース!待ってるさ!!い,今人を呼んでくるさ!!」
ここ数年病気どころか風邪を引いたこともなかった天化はどうしていいか判らず,とにかく人を呼ぼうと動こうとした。
ところが・・・・
ぎゅっ
「!?」
動こうとした天化の腕を太公望が掴んだ。
「スースッ!?」
「・・・くなっ・・・」
太公望が擦れた声で何か呟く。
「行くなっ・・・天化・・・たの,む・・・行かないっ・・・で・・・」
「スー,ス・・・?でも,熱っ!!人,呼ばねぇとッ・・・」
驚いた天化が太公望を見ると,ふるふると首を横に振った。
そして熱に侵された瞳で天化を見つめる。
「っぃい・・・呼ばなくて・・・ぃいからっ・・・だから・・・」
――――――「傍にいて」・・・・――――――
「・・・・・スース・・・・」
太公望の必死の訴えに天化は折れた。
「わかったさ。スース。ここにいる。だから手,放すさ。汗,ふいたげる。だから・・・な?」
「・・・・・・・・・。」
こくん
太公望は微かに頷くと天化の腕を放した。