長編novel

□atheling -athrun-
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ここはとある王国のお城。
そこには悩める王子が…


atheling -athrun-



王子の名はアスラン・ザラ。
この王国の王である、パトリック・ザラと今は亡き王妃レノア・ザラとの一人息子。
頭脳明晰、顔立ち良好、おまけに優しいということで国民から愛されていた。
一方彼の父パトリックは戦争を企てる武装派として、賛否両用であった。
そのため、アスランを早く次の王とするよう考える人も多くいた。
そして決まったのが今度の婚約である。
穏健派で有名な隣の大国クライン国のラクス・クライン嬢
彼女との結婚によりアスランは穏健派の王となるだろうという考えだった。
もちろんパトリックもそんな国民の思惑をしらずに婚約を受けさせる気ではないが、隣の大国が自分の息子と婚約してくれるというのだ。
国の拡大と安定のためにも蹴る訳にはいかなかった。
そして当の本人であるアスランの悩みはまさにコレだ。
国の国民のためを思うと仕方がないと思えるが、話したことも、会ったことすらない相手と婚約なんて…きっと相手も嫌だろうに…
この婚約はまだ16と幼さの残るアスランにとっては酷なものであった。
悩みに悩み、ヒビキ国の王子で幼い頃からの親友であったキラ・ヒビキに相談することにした。

「隣の国にお忍びで行ってみたらどうかな?国の人からラクス様の噂をきくのも良いと思うよ。それになにより一目みたら好きになるかもしれないよ?」
「キラ、しかしそれは…」
「大丈夫だよ、その日も僕の所に行くことにすればいい。そうすればパトリックのおじ様にもきっとバレないよ。」

アスランは王子としての責任を考え危険だと感じながらもどうしても自分と婚約するラクス嬢にお目にかかりたいとキラの提案に乗ることにした。


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作戦当日、アスランは護衛を2人連れキラの城に向かった。
キラの部屋に着くと部屋の前で待ってるよう護衛に伝えアスランは一人キラの部屋に入っていった。
部屋の中ではキラが普通の国民の服とキャップを用意して待っていた。
「アスラン、これに着替えて、窓にハシゴかけといたからそこからぬけて!あとハイ、これ。通行手当!キサカさんに頼んで造っといてもらったから!これでラクス様の国に入れるよ!」
「キラ、いろいろとありがとうな。」
「どう致しまして!僕こういうの妹の脱走燐国巡りでなれてるんだよね!」
「妹って、噂のカガリ姫か?」
アスランは着替えながらキラに話しをきいた。
「うん、カガリ、父さん達に危ないからって一切外出許されてないし家族以外の人とも合わせてもらえなくって、ずっと部屋に閉じ込められてたんだよね。」
「そうだったのか、それでこの城によく来る僕も会わないのか」
「うん、カガリ凄い逢いたがってるんだけどね」
「そうだな、僕も是非双子でお前と顔が似てると噂のカガリ姫とはお会いしたいよ」
「今度、何とかして合わせてあげるよ!」
「あー、楽しみにしてるよ。」
話しているうちにアスランはバッチリ着替え終わり外に出ていった。
窓の外のハシゴの下ではキラの護衛でこの作戦の協力者であるキサカが待っていた。
キサカもまたヒビキ国に用事があるらしくヒビキ国まで護衛兼案内人としてついて来てくれた。
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