紳士の妹だからって淑女とは限らない

□二話目
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気まずい……。
兄貴は笑顔で私と龍壱の事睨んでるし(多分)
この空気に耐えられなくなった私は帽子の鍔を軽く下げて呟く

『龍壱が悪いんですよ』
「ちょっ 祐歌!?」
男なら黙って女をかばえ
理不尽っ!!
「女って……お前は男だろぃ?」


キョトンとした顔で赤髪の先輩が、緑色の……恐らくグリーンアップル味のガムを膨らませながら言う
私はそれを一瞥し、溜め息を吐いて帽子を取る
その瞬間に男テニの副部長と赤髪の男の目が見開いた


「お、女ぁっ?!」
『……悪いですか?』と睨む私
「気づかないとか、ダサいですね」と笑う龍壱
「丸井君ですから、仕方ありません」と眼鏡を上げる兄貴
「どういう意味だよ!?」

赤髪の男はそう、いきなり怒鳴った
それにより、びくりと私の肩が跳ねる。
その事に気づいたのかは解らないけど、龍壱が私の手を掴んで、いきなり走り出した。
ちらりと見えた兄貴の顔が苦しげに歪んでたのを、私は見て見ぬ振りをして、前を向いた。





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