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□この先もずっと。
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「はあ…」
炬燵に入ったまま、忍足はため息をついた。
テレビでは紅白歌合戦が流れている。
付き合っている二人の開いていく距離を歌った歌詞に共感しながら、またため息をついた。
学校が違う事もあって、なかなか会えない。
だからせめて、今日は一緒にいたかった。
…我儘だとは分かっている。
だから、彼に言う事はしなかった。
もし言えば、彼はどんな無理をしてでもそれを叶えると分かっていたから。
三度目のため息をつこうとした時、インターホンのチャイムの音がした。
「誰やろ…」
玄関へ行ってドアを開ける。
「あ…」
「こんばんは」
見なれた笑顔は幻ではない。
「桃城…」
「いきなり来ちゃってすいません」
「親の実家行くんやなかったん」
「適当に理由付けて残りました」
戸惑いながらも体は正直で。
思わず頬が緩んでしまう。
隠すように俯いた。
「…とりあえず、上がり」
「おじゃましまーす」
さっき忍足が入っていた炬燵を見つけ、桃城は声を上げた。
「いいなあ。オレんち炬燵、無いんですよね」
向かい合って座る。
足が触れあう度に跳ねる心臓を抑えるのに必死だ。