旧project
□Blue Spring
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この学校―氷帝学園に入学してからまだ三日目。
昼休み、忍足侑士は一人廊下を歩いていた。
一階まで降り、迷う事なくある場所へ向かう。
テニスコートの奥にあるその場所は、入学式の当日に見つけたものだった。
予め置いてあったラケットとボールを手に取り、壁打ちを始めた。
ちらりと、目線を斜め上に向ける。
この場所からは、テニスコートがよく見えた。
(テニス部、かあ)
強豪の氷帝テニス部は、小学生の時からテニスをやっていた忍足にとっては憧れの存在だった。
(けどなあ…)
入学式、在校生代表として挨拶した生徒会長を思い出す。
他の生徒たちが騒いでいた。
あの生徒会長はテニス部の部長だと。
人を見下した偉そうな態度。
世界の中心は自分だと思っているかのような。
(気に入らんわ…)
ラケットを持つ手に力が入る。
力んで打ったボールは、壁に当たりラケットの届かないところへと飛んでいった。
小さく舌打ちをし、ボールが飛んでいった方を向く。
「あ…」
思わず声が出た。
そこに居たのは。
「新入生か?」
生徒会長でテニス部部長―跡部景吾、その人だった。